anothr story

□pay envelope
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「……?」
女の胸に直径10cm程の穴が空いていた。
疑問を浮かべて女は細い指で穴を触った。
どす黒い血が白い肌を汚した。
背後を振り向くと、そこにはもう一人の人間がいた。
煙の上るリボルバーを手にして。
悲痛な表情を浮かべ女は石畳に倒れ、紅い血の海に沈んだ。
リボルバーを持った中年の女は男へと近付く。
「…マザー…」
大量の出血により男の言葉に力はなかった。
マザーと呼ばれた女が手を差し延べる。
だが、男は知っている。
これが救いの手では無いことに。
「…ふん。くれてやるよ…。こんな、も、の…」
男の息が切れる前に差し出されたのは封筒だった。
マザーはそれを確認し、二つの遺体を後にした。
紅い湖に沈んだ二人の上を風が駆け抜けて行った。








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