anothr story

□pay envelope
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女が大地を蹴って高く跳躍。
地面に落ちる前にそれを銃弾が打ち抜く。
轟音と共に爆発した。
熱い爆風に乗り女は建物の屋根へと飛翔。
向けた視線の先には爆煙が立ち込め、男の姿は確認できない。
女は両手の銃弾を構わず発砲した。
弾が切れる前に充填し更に発砲。
風が煙と女の髪をさらっていく。
視界が拓けた場所に男はいなかった。
女はすぐにその場を離れた。
その瞬間、建物に亀裂が走り崩れた。
地面に着地後、転がるようにして女が瓦礫から離れる。
無傷の男が粉塵の中から現れた。
女がすぐに発砲した。
男が走りはじめ、銃弾を弾いた。
「――っ!!」
男の腹に穴が空いていた。
弾は確かに弾いたが一発だけでは足りなかった。
一発の発砲音に聞こえる程の速度で女は2発打ち込んでいたのだ。
血を流す男に更に銃弾を放つ。
腹を押さえながら、男が路地へと走り、姿を消した。
静まり帰った街に女が問う。
「まだ渡さないのか?」
男が答えた。
「渡さない…」
声がした方へ銃弾が跳んだ。
「これは、俺の存在理由だ!!お前何かに奪わせはしない!!」
女の背後の路地から男が走った。
怒号と共に駆けるそれを女は撃った。
先ほどと同じ2発を。
男は避けたが、それを狙った左手が着地点へと発砲。
足の甲を穿った。
今度は体制を崩した男の手に穴が空いた。
落とした刀を女が蹴った。
そして、平伏した男の額に銃口を突き付けた。
女に男は嘲った。
「失えば、…何もなくなる」
女は憂いの瞳で答えた。
「また、得ればいい」
一発の銃声が街に響いた。
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