【one's birthday of strategist】


「わー蛮ちゃん〜すごく可愛い〜Vv」
「ウゼェ!!オレ様に近寄るんじぇねぇ!変態!!」
――ドガッ!バギッ!!ドゴッ!!!
あまりの愛らしさに腕を広げて蛮に近寄ろうとした銀次は、ものの見事に返り討ちにあってしまった。
だが、殴られた銀次といえばヘラヘラと笑って、痛みなど全く感じはしないのか。
そのまま、殴り飛ばされた床からムクリと起き上がったと思えば……。
「もう照れちゃってさ、蛮ちゃんってばすごく可愛い!」
蛮ちゃんって、照れるとすぐ手が出るんだからvv
勝手に妄想の地中海にダイブである。
そんな銀次の姿に、蛮はヒクリと麗しい顔を歪ませた。
フツフツと怒りが込み上げてくる。
「こぉんのボケッ!!オレ様は怒ってんだからな!!」
しかも、可愛いって何だ可愛いって!!
今の蛮の姿は、小さな身体に大きなシャツを羽織った状態。
そんなアンバランスな格好で、ユラリと闘気を滲ませたかと思えば……仁王立ちで銀次を睨みつける。
そう、銀次は自分の誕生日に格好つけて蛮を自分と出会う前の姿――16歳以前の蛮(推定:12歳)に姿を変えさせたのだ。
しかも、こともあろうかマリーアとグルになってだ。
蛮の怒りの理由はこれに尽きる。
だが普段から怒られ慣れている銀次は、自分がしたことを忘れ去ってしまったかのように。
怒ってそっぽ向いた蛮の身体を後ろから包み込むと、その小さな身をギュッと抱き締め囁いた。
「ね、蛮ちゃん……記念写真とらない?」
シャンプーの甘い香りがする蛮の髪に頬擦りして銀次が問うと、普段より可愛くなった蛮はいつも通り可愛くない返事を返してきた。
「や だ」
ただその一言。
あっちこっちを銀次に触られながら、蛮は冷たい声で言い放つ。
「そう言わないでさ〜」
「ぜってぇ、やだ!」
抱き締められることが嫌いではないらしい蛮は、銀次を振り払ったりはしない。
だが、それとこれとは話が別なようで、身体を小さくされたことについては申し開きをしないと気が済まないらしい。
ベットの上。
朝起きたら自分の身体が小さくなっていて。
ただでさえ“あのメンバー”の中で一番身長が低いことを蛮は気にしていたのだ。
それを銀次の奴は、劣等感を逆撫でするように抉ってくれる。
(何で、育たないかなー……オレ)
食っても太りにくいの自分の体質が恨めしくてならなかった。
銀次と同じモノ食ってるのにと。
あの花月でさえ自分より背が高い。
(絶対、銀次のせいだ……!)
銀次が絶倫だから相手してる自分が太らないのだと、拳を握り締めて心の中で吠える。
しかし、そんな蛮の心など知らずに、銀次はのほほんと変なことを言い出した。
「そんじゃ、蛮ちゃん。オレに××してくれる?」
その可愛い唇でさ。
オレも蛮ちゃんのを可愛がってあげるから。
――どう?
今日、オレの誕生日なんだから何か一つくらい言うこと聞いてよ。
人に了承も取らず勝手に子供にしといて……何を今更。
それで交換条件を出してるつもりなのか。
にしては、持ち掛ける条件が悪質なモノだった。
「………」
不意に襲った眩暈に、倒れ込みそうになりながら銀次を振り返る。
(……な……っ///)
したことがないと言ったら嘘になる。
銀次とこんな関係になる前に付き合った男とやったことがあった。
(あー……///アレは絶対やりたくねぇ!ハズいどころの話じゃねぇよ!!///)
思い出したアレコレに頬を染めながら、銀次に言われた単語を頭の中で反芻して白旗をあげる。
やりたくないのだから、写真で我慢するしかない……のか?
「……写真、だけでいいんだな?」
それ以上はする気はないぞ、と確認するように言うと銀次は嬉しそうに笑う。
小さな子供みたいな笑顔。
それを見てしまえば、何も言えなくなる。
(やってらんねぇ……)
その笑顔だけで許してしまう自分は、かなり銀次に甘いのかもしれない。
骨の髄まで実は自覚していることを、今更ながらに考えてしまい落ち込んでみたりする蛮だった。
「十分だよ、可愛い蛮ちゃんと写真撮れるだけで」
今日のところは、ね。
と思わせぶりに言った銀次の言葉に悪寒が走りながらも、明日のことは明日考えればいいかとカメラをセットしている横で溜め息を付いた。
「ハァー……」
「ほら、蛮ちゃん笑って!」
「あ?」
カメラにはタイマーをセットしてある。
シャッターが切られる瞬間を待つ間、銀次が蛮の掌を掴み笑顔を作る。
「触んなって!」
「掌くらいはいいでしょ?」
ほら、蛮ちゃんも笑いな。
そう、銀次に言われても楽しくもないのにヘラヘラと笑えるもんか!と心中でのみ言い返し、カメラを睨み付けたのだった。
それから。
パシャッとシャッター音が聞こえ、写真撮影が終わったかのように見えたが……。
「銀次?」
そのまま、腕を引っ張られて銀次の腕の中に収まる。
「さてと、次はオレの膝の上ね?」
甘い声で告げられた言葉の意味が分からなかった。
「……え?」
結局一枚だけだからと言い聞かせて頷いた写真撮影は、蛮の思惑とは裏腹に思わぬ方向へ。
「誰も一枚だけとは言ってないけど?なんなら××してくれる?」
「銀次……テメェ……ッ」
「大人しくしてたら何もしないから」
蛮ちゃん次第だよ?
一度で終わるなんて、一言もオレは言ってないからね?
ニヤリと笑う銀次に蛮は目を見開く。
そして。
「……やられたっ!」
ガクッと銀次の胸を背も垂れ替わりににして、力を抜く。
計算された素晴らしい脅しに屈した形の蛮は、不本意ながら銀次と色々なシチュエーションで写真を撮るハメになったのであった。




END

遅くなった銀次誕生日SSS。
書いただけ、もう偉いよ(笑)
制服やメイドは基本だよね……GBは(笑)

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ