◆突発◆

□突発
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今日のカカシ先生はすごく機嫌が悪い。

別に顔とか態度に出てるわけじゃないけど、雰囲気っていうか微かに感じるチャクラで?

言ってみれば乙女の勘ってやつかしらね?



『Sakura intuition!』





ま、乙女の勘なんて言わなくても、凄く分かりやすいんだけど。

だって、

今日はナルトが怒られる回数がいつもより多いし。

とばっちりで私やサスケくんまで怒られるし。

もちろん苛々して意味も無く怒ってるわけじゃないけど。私たちにだってもちろん非はあるんだけど、いつもなら見逃してくれる程度のことだって怒られてる感じ。

「ナルト、それはそうじゃないって俺さっきも言ったよね?」

ほら、また刺々しい声が聞こえてきた。

自分の作業の手を止めたら今度は自分が怒られるから、手が止まらないように気を付けながらちらりと背後を窺う。

ナルトはカカシ先生に怒られて小さく縮こまってる。

視線を移せば、サスケくんも私と同じようにナルトを心配して見てた。

あのナルトと反発してるサスケくんがよ?

つまりその位、今日のカカシ先生はピリピリしてるって事。

これだけ見てれば機嫌悪いのなんて一目瞭然よねぇ?



でもナルトを助けたくてもあの威圧感を正面から受け止める勇気なんてないもの。

可哀想だとは思うけど、ナルトには運が悪かったと思って諦めてもらうしかないわ。

小さくため息をつくと、私は私の作業をさっさと進める。

それにしても何で今日は機嫌が悪いのかしら?昨日は普通だったくせに、今朝からよね?

何か夜に別の任務でもやって疲れてるとか?

まさかカカシ先生に限って任務を失敗して気が立ってる…なんて事はないだろうし。



何にしても、私達にあたるのは止めてほしいわ。

しかも多分あたってるって自覚はないみたいだから、なお悪い。こっちから何か言ったって余計に機嫌が悪くなるだけだろうし。

あ〜あ、と思いながら私はやっぱり自分の仕事に没頭する。

「おい、ドベ。ここはこうするって見れば分かるだろうが」

「うっせぇってばよ!ドベとか言うな!」

「ドベにドベって言って何が悪いんだよ、ウスラトンカチ」

「ここをこうするのなんて分かってるってば!ちょっと他のやり方試してただけだってばよ!」

「はっ、どうだかな」

…ああ、こんなサスケくんとナルトのケンカすら耳に心地いいわ。

カカシ先生とナルトじゃ、ギスギスしててとても微笑ましいなんてもんじゃなかったもの。むしろ心配させられたくらいだし。

しかもさり気なくアドバイスなんて、サスケくんたら優しいわ♪

さすがサスケくんよね★




「サクラ、手、止まってるよ?」

いきなり背後から、背筋の凍るような冷たい空気を纏わせた声が降ってきた。

注意されて『ギクッ』なんてものじゃないわ。

間違い無く『ゾクッ』ってするぐらいの、殺気とはわすがに違うけど、かなり機嫌が悪いって丸分かりの…

「ご、ごめんなさい」

謝って慌てて作業の手を進める。

今だって十分悪いだろうけど、これ以上機嫌悪くなられたらきっと手もつけられないわ。

背後には相変わらず冷たい気配。

ナルトの事はサスケくんが見てるから、今度は私の様子見に来たって事??

さっきはナルトが可哀相だったけど、今度は私が可哀相な番じゃないの!

これがいつものカカシ先生だったらどうって事ないのに。

ていうか、いつものカカシ先生ならこんなに熱心に私たちの様子なんて見ないくせに。そうよ、何で今日の、こんな機嫌の悪い日に限って…?

機嫌が悪いから色々目に付いちゃうって事?


ちょっと気になって(かなり怖かったけど)、ドキドキしながらちょっと振り返ってカカシ先生を窺う。

そしたらカカシ先生は私の方は見てなかった。

もちろん目の端には私の事も映ってるだろうけど、見てたのはナルトたちの方だった。

しかも、凄く嫌そうな目で。

まるでナルトとサスケくんが仲良くしてるのが嫌みたいな。


だって普段はみんな仲良くしろって自分で言ってるくせに。

チームワークが大事だって何度も諭したくせに。

そのくせに、何で?


「サクラ、余計な事は考えずにさっさと仕事済ませてね?」

「え」

「俺、この後も任務が入ってて忙しいのよ、今日。だから気が立ってる風に見えたらごめんね?」



カカシ先生は笑った。

作り笑い。

心から笑ってない。

でも、心から私たちが嫌なわけでもない…はず。いやなら、こんな言い訳もしてくれないでしょ?


だから、そう、信じてるから…


私も笑うから。



だから、早く元に戻ってよね!

しゃーんなろー!!


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08.05.22
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