◆突発◆
□突発
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ずっと頭の中で同じ言葉が回っている。
『うちはイタチは死亡』
暁の変な仮面被った奴の横に出てきた、もっと変な緑色のアロエの化け物みたいな奴が言った。
淡々と、言った。
面白がったような、全て見透かしたような仮面の男の声音に虫酸が走る。
嘘だ、って思った。
信じられないって、信じたくないって…
だってこんなに耳に鮮明にイタチの声が残ってる。
『ナルトくん…』
そう言って優しく微笑むイタチの顔だって……────
『Promise-T』
その『うちはイタチは死亡』いう言葉は、その前に聞こえた『サスケの勝ち』とかなんて掻き消えてしまうくらい…その位オレに激しい衝撃を与えた。
あんなに取り戻したいと願ったサスケの名前が出たのに、そんな事はどうでもいいって思ったくらいに。
早くサスケの居場所を見つけないと。
それで、そこに居るであろうイタチに会わないと。
サスケに会いたいんじゃなかった。
イタチを確認したかった。
必死で走って、
全速力で走って、
たぶんもう自分の限界ってぐらい急いだのに、
時間だってそんなに経ってないのに、
やっと辿り着いたその場所にはもう何も無くて。
キバは匂いが残ってるって言ったけど、オレにはそんなのわかんねぇし。
よっぽと激しい戦いだったのか、辺りは瓦礫の山で、おまけに土砂降りの雨……痕跡があるのかさえオレには分からなくて。
カカシ先生の写輪眼とか、
ヒナタの白眼とか、
キバの嗅覚とか、
シノの蟲とか、
オレにも何か、そういう探知系の能力が一つでもあったなら。
そう思ったら悔しかった。
だって、オレじゃ何にも分からない。
何にも気付けない。
イタチが死んだって証拠も無いけど、
死んでないって言える何かもそこには無くて。
悔しくて、悔しくて、
でも、どうする事も出来なくて。
どうしたらいいのかも分からない。
せっかくサスケを見つけて、そこにイタチも居るはずだったのに。
また全ての手がかりを失った。
またイタチに手が届かない。
手元に残った一本の紐をじっと見つめる。
最初で最後になった約束。
最後だと思ったから、約束してくれたのか?
今まで約束なんてしてくれなかったくせに、もう終わりだからせめて…って?
だとしたら、
……だとしたら、そんなの、酷いってばよ…。
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08.06.12