◆突発◆

□突発
17ページ/39ページ

▲戻る


ずっと頭の中で同じ言葉が回っている。

『うちはイタチは死亡』

暁の変な仮面被った奴の横に出てきた、もっと変な緑色のアロエの化け物みたいな奴が言った。

淡々と、言った。

面白がったような、全て見透かしたような仮面の男の声音に虫酸が走る。

嘘だ、って思った。

信じられないって、信じたくないって…


だってこんなに耳に鮮明にイタチの声が残ってる。

『ナルトくん…』

そう言って優しく微笑むイタチの顔だって……────




『Promise-T』







その『うちはイタチは死亡』いう言葉は、その前に聞こえた『サスケの勝ち』とかなんて掻き消えてしまうくらい…その位オレに激しい衝撃を与えた。
あんなに取り戻したいと願ったサスケの名前が出たのに、そんな事はどうでもいいって思ったくらいに。


早くサスケの居場所を見つけないと。

それで、そこに居るであろうイタチに会わないと。

サスケに会いたいんじゃなかった。

イタチを確認したかった。




必死で走って、


全速力で走って、


たぶんもう自分の限界ってぐらい急いだのに、


時間だってそんなに経ってないのに、


やっと辿り着いたその場所にはもう何も無くて。




キバは匂いが残ってるって言ったけど、オレにはそんなのわかんねぇし。

よっぽと激しい戦いだったのか、辺りは瓦礫の山で、おまけに土砂降りの雨……痕跡があるのかさえオレには分からなくて。


カカシ先生の写輪眼とか、

ヒナタの白眼とか、

キバの嗅覚とか、

シノの蟲とか、


オレにも何か、そういう探知系の能力が一つでもあったなら。

そう思ったら悔しかった。

だって、オレじゃ何にも分からない。

何にも気付けない。




イタチが死んだって証拠も無いけど、

死んでないって言える何かもそこには無くて。




悔しくて、悔しくて、

でも、どうする事も出来なくて。

どうしたらいいのかも分からない。

せっかくサスケを見つけて、そこにイタチも居るはずだったのに。

また全ての手がかりを失った。


またイタチに手が届かない。






手元に残った一本の紐をじっと見つめる。

最初で最後になった約束。

最後だと思ったから、約束してくれたのか?

今まで約束なんてしてくれなかったくせに、もう終わりだからせめて…って?

だとしたら、


……だとしたら、そんなの、酷いってばよ…。

++++++++++

08.06.12
▲戻る

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ