◆突発◆

□突発
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ふと、夜中に目が覚める。

別に眠りが浅いわけでもないし、忍者という職業の特性上、短期間に集中して濃い睡眠をとる癖が付いている筈なのだ。

にもかかわらず、夜中に目が覚める。



『don't care to part』





俺の腕の中で安らかな寝息をたてるナルトを見て、ほっと安堵する。

抱きしめて眠らないと不安で堪らないようになったのはいつからだろう。少なくとも2年前、いやナルトが里に戻ってきた当初も、こんなにまで不安ではなかったのに。

ナルトの部屋で、

俺の部屋で、

いつだって一緒に眠って、

朝になってナルトが腕の中に居なかったことなど無いのに、まるで居なかった事があるかのような明確な恐怖にも近い不安が俺の心を苛む。

ナルトはこの腕の中に居る。

目を覚ませば俺の顔を見て可愛く微笑むだろう。その様も容易に想像できる。

なのに、この不安だけは拭う事が出来ない。


何が怖い?

別に誰かにナルトを盗られるとか、ナルトの心変わりとかなんて心配してない。

そんなことじゃないのだ。



怖いのはきっと内側からの干渉。侵食。汚染。

ナルトをナルトでいられなくしてしまう『九尾』が怖い。

別にただの『九尾』を怖いとは思わない。もちろん大変な脅威であり、あの四代目ですら命を懸けて止めるしかなかった程の化け物だという事は分かっている。

だけどそうじゃない。

この腕の中のナルトが突然『九尾』と化して俺を襲うことを怯えてるんじゃない。


俺はただ、
『九尾』がナルトの心を侵す事を恐れている。
ナルトの心が消されてしまう事を恐れている。
ナルトがナルトでなくなる事を恐れている。

ナルトが俺を忘れてしまう事を恐れている。


腕の中にある安らかな寝顔が苦痛に歪まないように、と俺は願う事しか出来ないのだ。

俺がしてやれる事などごく僅かで。

むしろ何もしてやれないと言ってしまってもいい程で。

居たって、いざという時には何の役にも立たない。居るだけ邪魔になるかもしれない。

でも、それでも、側に居たい。

ナルトを抱きしめたい。

この手を離せない。離したくない。



だからそっと願う。

夜中に不安で目が覚めるたびに、祈るように願う。


どうかこの安らかな眠りが守られますように。

この子を抱く俺の腕が、この子をこの子であるように繋ぎ止めますように…。

どうか。

どうか………。





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08.02.07
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