◆突発◆

□突発
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明日から、草隠れの里に行くんだと言ってナルトが訊ねてきた。

手にはいつものように俺が好きな酢こんぶ。

『ジジ臭いってばよ』なんて言いながらも、俺の為に買ってきたと言いながら、俺と一緒になって食べてるんだからお前だって十分ジジ臭いだろ…なんて口には出さないけれど。

言えばどうせ喧嘩になる。

下らない口喧嘩とは言っても、それはそれでちょっとめんどくさい。

どうせ一緒に居るのなら、俺はずっとあいつの笑顔が見ていたい。



『why is it?』






この前の砂の里の任務で、大蛇丸のスパイの情報が手に入ったんだって嬉しそうに笑うナルトに、俺は上手に答えられていただろうか。

サスケの手がかりが掴めると喜ぶナルトに、

何度もサスケの名を呼ぶナルトに、

微かに心がざわついた。

ただ、名前が出ただけなのに。


ナルトのサスケを取り戻したいって願いが叶えばいいと思う。俺で手助け出来るなら叶えてやりたいとも思う。

それは心からの、本心で、嘘じゃない。

だけど、

なのに、

なぜか、

ナルトがサスケの名を呼ぶたびに心が曇っていく気がする。

モヤモヤした物が胸の中に溜っていく。



「スパイって言うからにはきっと、大蛇丸の居場所も、サスケの居場所も知ってるってばよ」

そりゃそうだろうな。というか、それ以上の情報も盗って来れないようなスパイなら、もうとっくにバレて殺されてるっての。

「やっとサスケの手がかりが見つかったってばよ」

修行してた2年間も大した情報は得られなかったって言ってたからな、お前。

「今度こそサスケを捕まえてやる!」

まぁ、頑張って来いよ。

「オレってばサスケに言いたい事色々あるんだってばよ。シカマルだって少しはあるだろ?!」

まぁ、少しは…な。

「サスケ、今頃何してんだろな?」

「サスケ、まだ、ちゃんと、大丈夫だよな…」

「サスケ、元気にしてるかな」

「サスケ、………し…かな?」

「サスケ、……に………のかな?」




ああっ!!

もう、何なんだ…。

モヤモヤがおさまらねぇんだよ、めんどくせぇ。



ナルトの声を聞くのが好きだ。

ナルトの笑顔を見るのが好きだ。


なのに、
今は聞きたくない、
見たくない。


いつもはあんなに離れがたいのに、

早く任務に行っちまえ

そう、思った。


声が聞きたくないわけじゃない。
顔が見たくないわけじゃない。


なのに……

++++++++++

08.02.20
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