◆突発◆
□突発
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ぽかぽか
それはきっと、
太陽がくれた優しい時間。
『a sunny place』
もう春も近い2月の終わり。降り注ぐ光は暖かいけれど、吹く風は冷たい。
ナルトは久しぶりの休みを満喫するかのように家でのんびりと過ごしていたが、久しぶりの休みであるが故に何をしようかと色々考えながら、結局はどこか手持ち無沙汰だった。
何をしようにも、やりたい事が多すぎる。
やった所で、時間が1日、それももう半日は過ぎてしまっていては中途半端になるだけで満足できない。
あれもこれも、なんて色々小さい事を忙しくやる気もない。例えしなきゃいけなくても、だ。
だって、今日は休みなのだから。
だからやっぱり手持ち無沙汰で。
やっとの事でナルトが中忍になった時、
やっとの事でナルトが連れ戻したサスケも中忍になった。もちろんサスケの場合はいろいろと事情もあるから、余り大っぴらには公表されていないけれど。
何にせよ、ナルト達第7班もそれをもって解散となった。
3人ともカカシの元を離れ、お互い一人前の忍としてそれぞれが責任ある任務をこなしている。
たまに同じ任務をあてがわれる事もあるけれど、第7班としていた頃と比べれば会う機会はかなり減っている。
当たり前だと思っていても、淋しいとは思う。
会いたい、と思う。
……今日サスケは休みだろうか。
前は一緒だから知っていた事も、今は聞かなくては分からない事になってしまった。
気付いたら駆け出していた。
慣れた道順、よく知った路地裏、目を閉じていても走り抜ける自信がある。
それくらい何度も通った道だ。
いつだってサスケに会いたくて。
サスケが帰ってくる前は、その道を進んで何度切ない気持ちにさせられただろうか。
明かりの灯らない部屋に何度涙しただろうか。
だけど、今はサスケはいるのだ。
例え任務に出ているとしても、待っていれば帰ってくるのだ。
会いたいなら、会いにいけるのだ。
上がった息を落ち着けながらサスケの部屋を見上げれば、ちょうどその窓が開くところだった。
サスケはすぐにナルトに気付いて笑みを溢した。
瞬間、ずっと吹いていた風がようやく止んだ。
暖かいな、とナルトは思う。
さっきまでは風が冷たくてずっと寒かったけど、今はそれが嘘のように暖かい。
「何やってんだ、ウスラトンカチ。来たんなら早く上がって来いよ」
「ウスラトンカチって言うなってばよ!」
いつものサスケのイジワル。
いつものオレの反論。
すごく、暖かい。体も、心も。
気付いてなかったけど、こんなに心も寒がってたのか、とナルトは驚いた。サスケの存在がこんなにも自分を優しく包むのか、と。
もう春も近い2月の終わり。吹く風は冷たいけれど、降り注ぐ光は暖かい。
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08.02.23