薔薇乙女小説の時間

□One only important thing
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―作りかけの人形―
それを知ってしまったあの時から私の時間は止まってしまった。
もしかしたら私はずっと本当の私を知るのが怖かったのかもしれない・・・・
不完全な人形ではどんなに頑張ってもお父様に愛してもらえない。それを心のどこかで知っているから昔の私は不安で飛べなかった。お父様のもとに歩いていくことができなかった。
でもお父様は私に微笑んでくれた。お父様に会いに行く翼をくれた。
飛び立てない私に翼をくれ私を自由にしてくれた。
そして・・・私に愛を教えてくれた。
私が欲しいのは本当の愛情・・・同情や哀れみからくる愛情なんていらない。
ましてや馴れ合いの愛情、姉妹の愛情なんて私には必要ない。
私の欲しい愛情はたった一つ・・・
だから・・・お父様・・・
私だけを見て私だけを愛してください。
真紅よりも聡明で
雛苺よりも愛らしく
蒼星石よりも知的で
翠星石よりも気高くて
そして誰よりもお父様を愛している。
お父様に会えるのなら世界の果てでも会いに行きます。
例えそれが地獄でも、その為に私の翼は黒いのだから・・・・
例えそれがどんなに残酷な方法でも、その為の逆十字架なのだから・・・
そう全てはお父様に愛していただくその為だけに・・・
だからお願いです
どうか私とワルツを踊ってください。
愛情という茨で縛られ動かなくなった私の時間は、その時初めて動き出すのですから

END
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