薔薇乙女小説の時間

□幸せ
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「暇だから一緒に買い物について行ってあげるわぁ」
水銀燈のこの一言に珍しいこともあるもんだな・・・家の中ばかりだからたまには俺と一緒に出かけたいのかな・・・などと、ひそかに喜んでいたのがそもそも甘い考えだった。
水銀燈に人形だとばれないように変装させ無事にデパートに着いたまでは良かったのだが・・・
「すごぉい、人がいっぱいねぇ。ねぇ、あそこはなぁに?」
「あそこはおもちゃ売り場だよ。行ってみよっか」
「ねぇねぇ、このクマのぬいぐるみったら、喋るのよぉ!すごいと思わなぁい?」
「(すっげーはしゃいでるなぁ、というか水銀燈だって喋れるじゃんか)へぇ、すごいなあ。こっちの喋ったことに反応して色々話すみたいだね。気に入ったの?」
「べ、べぇつにぃ。ちょっとめずらしいかなぁって思っただけよぉ」
<コンニチハ!ボクの名前はブーさん!大切にしてね!>
「うっ…ほんとに、ただめずらしいだけよぉ…」
「(とか言いながらなんで俺の財布を見てるんだよ。まあここは水銀燈をたてとくか)ああー、俺、この人形欲しくなっちゃった。うん、買おう。そうしよう」
「あ、あらぁ、あなたその年でクマのぬいぐるみだなんて随分と趣味が幼いのねぇ。で、でもぉ、どうせ下僕の物は主人である私の物になるのよぉ?別にいらないけどぉ」
「うーん、まあ、俺はたまーに見るだけでいいや。このぬいぐるみの世話は水銀燈に頼んじゃってもいいかな?」
「そっ、そうねぇ。それが賢明ね」
「(ここで買わなきゃあとが怖いしなぁ、にしてもデケーなこのぬいぐるみ)えーと、値札値札っと…うおっ、4万もするのかコイツ…」
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