薔薇乙女小説の時間

□いつもどうり
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ーガッシャンー
いつもどうり窓ガラスを割って見慣れた鞄が飛び込んで来た。
この非日常的な光景にもすでになれてしまって腹も立たないがいつもどうり僕は文句を言う。
「まったく。何度僕の家の窓ガラスを割れば気が済むだ…この性悪人形!」
しかし元凶であるはずの翠星石はまるで自分のせいではないとばかりに澄ました顔をしている。
「翠星石が悪いわけじゃないですぅ。鞄の奴が勝手に飛び込んだだけですぅ」
「このぉ!そんな言い訳が通ると思っているのか!?」
しかし翠星石はあからさまな溜め息をついて、しょうがない奴だと言わんばかりに首をふっている。
「まぁたく。このぐらいで怒るなんて心までミニミニサイズのチビ人間ですね〜そんな狭い了見だからいつまでたってもチビのままなんですぅ」
「なんだとー!チビチビ言うな!ていうかお前の方が小さいじゃないか?!」
「翠星石はドールだからいいんですぅ」
確かにこいつは家にいるドールの中では一番背が高いが…なんて考えていると窓から落ちついた声がした。
「こんにちは」
「蒼星石!どこに寄り道してたですか?」
「ごめん。ちょっと鞄の調子が悪くてね。それより翠星石またジュンくんと喧嘩していたの?」
「チビ人間が悪いんですぅ」
「お前が悪いんだろう!」
蒼星石を見るとクスクスと笑っていた。
「二人ともいつもどうり楽しそうだね」
「「どこが!」」
「ほら、息もピッタリ」
「「ふん!」」
「まったく。お前と比べたら真紅の方がうるさくないぶんよっぽどましだよ」
「な、なんですぅ!その言いぐさは?!」
「だって本当の事だろう?まったく契約したのが真紅でよかったよ」
「なっ」
何か言い返してくるかと思ったけど不気味なほど黙り込んでしまった。
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