薔薇乙女小説の時間

□最初の三文字
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裏小説と書かれた文字をクリックしようとした時、背後から真紅が僕を呼んだ。
「ジュン。さっきから呼んでいるのが聞こえないの?」
僕は慌ててパソコンの画面を体で書くしながら聞いた。
「な、なんだよ!ノックもなしに人の部屋に入ってきて!何の用だよ?」
「のりからこたつを出すのを手伝って欲しいから、ジュンを呼んで来てちょうだいと頼まれたのだわ」
そういえば、今年はまだ出していなかったなあと思いながらも、僕の口から出るのは全然別の言葉だった。
「今年は暖かいんだからこたつなんて必要ないだろ?だいたいこたつを出したいんなら自分達で出せよ」
「まったく。困った下僕ね。ご主人様の言うことは素直に聞くものよ」
「な!誰が下僕だ!誰が…うわぁ!」
僕が文句を言っていると、真紅の綺麗に束ねた髪が目の前まで迫っていた。
「何するんだよ!?」
「ごちゃごちゃとうるさいからよ。いいからさっさと手伝いなさい」
「ハイハイ」
「ハイは一回よ」
「ハ〜イ〜」
結局僕は真紅の髪で叩かれてしまった。

一階に行くと雛苺と翠星石が姉ちゃんの手伝いをしていた。
「あっ、ジュン!手伝いに来てくれたの?」
雛苺が僕に駆け寄ってきながら聞いてきた。
「手伝いに来たんじゃない。来さされたんだ」
僕が雛苺と喋っていると、突然翠星石が割り込んできた。
「まったく。ダラダラと喋ってないで、さっさと手伝いやがれですぅ」
「何だとー!この呪い人形が!」
「何ですって!このヘッポコ人間!」
「ほらほら二人共喧嘩は駄目よ〜」
僕と翠星石が睨みあっていると、ほわほわした声で姉ちゃんが止めた。
「だいたい姉ちゃんがいれば僕が手伝わなくてもいいだろ?」
「それが私そろそろ晩ご飯の買い物に行かなきゃいけない時間なの。だからジュンくんお願いね」姉ちゃんが拝むようにして頼んできた。
「そうよジュン。たまにはあなたも働きなさい」「そうですぅ。非力なチビ人間でも、いないよりはマシですぅ」
「ジュン一緒に頑張るの〜」
真紅、翠星石、雛苺もそれに加わる。
「僕はパスさせてもらう。真紅達だけでやれよ」
「ジュン」
真紅がゆっくりと僕の名前を呼んだ。
「何だよ?」
「あなたは、さっき部屋で何を見ようとしていのかしらね?」
「なっ///」
「ジュンくん何を見ようとしていの?」
姉ちゃんが不思議そうな顔をして聞いてきた。
「言ってもいいのかしら?」
真紅が含みのある言い方で僕に聞いた。
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