薔薇乙女小説の時間

□幸せ
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「あら、その程度のお金もポンと出せないのぉ?情けない下僕ねぇ…」
「(そんな悲しそうな目するなよ、ああーもう買ってやるよ!)すいませーん、これくださーい!」

数時間後

「さぁ、次行きましょぉ。」
水銀燈は軽い足取りで僕の先を行く。
その美しい銀色の髪をなびかせ、少し嬉しそうに笑った顔に恥ずかしながら胸がときめいた。
おっと…いかん。それとこれとは話が別だ。
水銀燈は可愛い。確かに可愛い。だがしかし。
僕の手には先刻買ったいくつもの大きな紙袋がぶら下がっている。重い。
「あのなぁ…少し期待して来てみれば…やっぱりこういう事かよ…。」
「あらぁ?そんな事ないわよぉ?あなたと楽しもうと思って一緒について来てあげたんじゃなぁい。」
…ほんとかね。
買い物の出費は痛かったけど、家に持ち帰ったクマのぬいぐるみを水銀燈がにこにこ笑って撫でてるのを見てたら、なんだかこっちまで嬉しい気持ちになってきた。こういうのを幸せって言うのかな・・・なんて思ったりしていた。

END
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