小
□ねぇ、だれか、だれか、たすけて、かみさまっ!
1ページ/4ページ
僕は目の前の身体(もの)を見て目を疑った。
「現世での死神との戦闘により、負傷したとの報告です」
ここまで二人で担いできただろう女破面の一人が暗い顔で言った。
「私たちも全力でつくしましたが…あと10分もつかどうか…」
もう一人の女破面が言った。
そして、すべてを告げた後、失礼します、とだけいい、二人は部屋を出て行った。
ザエルアポロは自分の兄であるものを見つめた。
きれいな顔のは、傷跡があり、だけれど、元の白さはまだある。
ザエルアポロは何も言えず、ただ見つめるだけだった。
この、現実を認めたくなかった。
昨日まで、自分と一緒にいたのに…
昨日まで、自分と一緒に喧嘩してたのに…
昨日まで、自分と笑いあっていたのに…
昨日まで、自分と愛し合っていたのに…
それなのに、昨日の今日でこんな風になるものなのか…。
ザエルアポロはせめて、声だけでも聞こうと、イールフォルトの目の前にしゃがみ込み、身体をゆすりながら口を開いた。
「兄貴……。」
それでも、イールフォルトは目も口も開かない。
ザエルアポロはまだ死んでいないのに、何も反応しないイールフォルトを見て、胸が苦しくなり、顔を顰める。
「兄貴…イールフォルト…!!!」