□ねぇ、だれか、だれか、たすけて、かみさまっ!
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僕は目の前の身体(もの)を見て目を疑った。


「現世での死神との戦闘により、負傷したとの報告です」


ここまで二人で担いできただろう女破面の一人が暗い顔で言った。

「私たちも全力でつくしましたが…あと10分もつかどうか…」


もう一人の女破面が言った。
そして、すべてを告げた後、失礼します、とだけいい、二人は部屋を出て行った。

ザエルアポロは自分の兄であるものを見つめた。
きれいな顔のは、傷跡があり、だけれど、元の白さはまだある。

ザエルアポロは何も言えず、ただ見つめるだけだった。
この、現実を認めたくなかった。

昨日まで、自分と一緒にいたのに…


昨日まで、自分と一緒に喧嘩してたのに…

昨日まで、自分と笑いあっていたのに…


昨日まで、自分と愛し合っていたのに…


それなのに、昨日の今日でこんな風になるものなのか…。


ザエルアポロはせめて、声だけでも聞こうと、イールフォルトの目の前にしゃがみ込み、身体をゆすりながら口を開いた。



「兄貴……。」


それでも、イールフォルトは目も口も開かない。
ザエルアポロはまだ死んでいないのに、何も反応しないイールフォルトを見て、胸が苦しくなり、顔を顰める。



「兄貴…イールフォルト…!!!」
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