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□共に
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凌統は今、絶対絶命の危機に瀕していた。

前にいるは敵、左右を見ても敵、背後にも敵。

つまり、四方八方敵軍に囲まれているのだ。その上、敵兵の数は多いが護衛についている味方の兵は三十にも満たない。

「くそっ……最悪、ってね」

無駄口を叩いている暇はなかった。敵は雄叫びを上げて襲い掛かってくる。首級を上げようと必死らしい。

策だとも知らずに、逃げ出した敵将を深追いしたのがいけなかった。まさか伏兵に遭うとは予想していない。

時間が経つにつれ士気を上げる敵。必然的に少なくなっていく味方。凌統含め、彼の隊は懸命に応戦するも、段々と限界へ近付いていた。

「凌将軍! これ以上は持ちこたえられません!」
「くっ……どうしたら」

周囲を塞がれ、逃げようにもそれが不可能な現状。此処で果てるしかないのか――そう思ったその時。

「凌統っ!!」

聞き慣れた男の声。最悪な状況の中、凌統は一瞬自分の耳を疑った。

「……甘寧?」

それに続き、敵兵の叫び声が聞こえてきた。やはり甘寧だ。
みるみるうちに道……前方が開けていく。逆に不意を突かれた敵は殆ど簡単に崩れ去った。

「馬鹿野郎、」
「かんっ……」

いきなり抱き締められて凌統は色んな意味で至極慌てた。人前だという以前に、此処は戦場だ。他に味方がいるとはいえ、背後からグサッとくるかもしれないのに。

「突っ込みすぎるなんてお前らしくねえじゃねえか」
「……悪い」

手を煩わせたが、正直救援に来てくれて嬉しかった。このような場所で死ぬのは孫呉に対して申し訳ないと思うし、何よりもう少し甘寧と一緒にいたかったから。まだ戦場で一緒に戦いたかったから。

愛しさが溢れ、こちらも腕を相手の背に回す。

身体を解放されると味方に混じって戦い始める。甘寧の隊によって勢いを増した二隊は、敵を蹴散らしていった。

何となく甘寧の姿を見ると、大振りの刀を自在に操り敵を薙払っていた。不本意ながら見とれてしまう凌統。

これからもずっと二人で。

何故かそう思ってしまうのだった。






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