text

□Trick or Treat!?
1ページ/6ページ



※この時代に西洋の方にもハロウィンはあるんだろうか…←






「トリックオアトリート!?」

俺はその声を耳にした途端、何も見なかった聞かなかったことにして扉を閉めた。それは訪問者の顔にぶつかったらしく、鈍い音を立てる。
こんな夜分にいきなり人の邸に押し掛けてくる非常識な奴はどこのどいつだ。……考えなくとも分かるだろう、あいつに決まっている。

「ちょ、おい! いきなり閉めなくてもいいじゃねえかよ!」
「……何か用?」

しぶしぶ扉を開けてやる。やはり甘寧だ。しかし、何か変だ。
ああ、頭ではなく、格好が。頭なら年中オカシイ。
いつもの紅い甲冑ではなく、黒い布を背に羽織っている。全体としても色は黒で統一されている。ただ、髪の色は普段通り派手な金だったが。その髪型もいつものように逆立てていない。
……前言撤回。頭もおかしくなったらしい。

「どうしたんだい、その格好は?」
「吸血鬼だぜ。カッコイいだろ?」

吸血鬼? あまり聞き慣れない言葉に、甘寧の姿を凝視する。
まあ確かに……いつもの甘寧とは雰囲気が違って落ち着いている。不覚、一瞬だが、ドキッとしてしまった。
はっきり言って、カッコイい……ってそうじゃないっつの!

「何でこんな格好してるのかって訊いてんの」
「そりゃ、万聖節の前日だからに決まってんだろ」

万聖節? それって確か、どっかの信仰では新年が11月1日から始まるって、前日の10月31日の夜から収穫祭が行われるっていう……。

「でもそれって西洋とかの方だろ? 俺らには関係ないんじゃ」
「祭りは祭りだ。楽しもうぜ!」

答えになっていない。
元々の性格からか、祭りとなると興奮するらしい。俺も祭りは嫌いじゃないので分からないでもないが、俺たち中華に関係がないものまで騒がなくてもいいんじゃないか?


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ