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□Trick or Treat!?
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「じゃ、行くか凌統」
「どこに?」
「決まってんだろ。他の奴らの家に菓子貰いにいくんだよ」

ああ、だから無理やり着替えさせられた訳だ。

「今から行くのか!?」
「おう、そうだぜ」

反論する間もなく腕を掴まれて連れていかれる。何を言っても無駄かと思い、使用人に告げてから仕方なく前を歩く男についていくことにした。

「それにしても、お前の格好エロいよな。ところどころ解けかかってんのもだが、ぴっちりしてて身体の線わかるっつーか……こりゃ魔女のナマ足よりも良かったんじゃねえ?」
「あ、あんた、んなこと考えてたのかよ!」

顔がかっと紅くなる。そういう目で見られていると、普通にしていても何だか抵抗が……。
取り敢えず、「変なことすんなよ」と釘を刺しておく。

「で? どこ行くつもりな訳?」
「そうだな、最初はやっぱおっさん家だろ!」

よく考えてみれば俺、こいつに巻き込まれている。そして周りに迷惑な行為をしている気がする。夜分に人の邸に押し掛けるなんて。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか呂蒙殿の邸に到着していた。中は一応灯りが点いているが……。
心配している間に、甘寧は邸の扉をドンドンと叩いている。迷惑すぎる。それを聞いて出てきたのは、使用人ではなく呂蒙殿本人だった。

「トリックオアトリート!?」
「な、何だ! どうしたんだ」

甘寧は俺のところに来たときと同じ台詞。マトモに呂蒙殿は驚いているようだ。

「何だ甘寧、お前か」
「すみませんねえ呂蒙殿。こんな遅くに……」
「凌統もか……というかお前たち、その格好は?」
「ハロウィンってヤツだ。菓子くれねえと悪戯するっつう決まりなんだが、どうする?」

甘寧がニヤリと笑う。相変わらず極悪人面だ。元賊なだけあるな。

「勿論菓子をくれてやるさ。お前たちに悪戯をされちゃあ適わんからな。少しばかり待ってくれ。」

そう言って呂蒙殿は邸の中に入っていった。菓子を取りにいったんだろう。何か……申し訳ない気分になってくる。俺たち子供じゃないのに、こんなことしていいのか?

「何だよ、つまんねえな。どうせなら悪戯の方が良かったぜ」
「何言ってんのあんた。菓子貰えるだけありがたいと思いな」
こいつは人に迷惑を掛けている自覚がないのか? それとも分かってやっているのか。後者だったらとんでもない男だ。

「まあ、今は我慢するか。…………後で凌統にイタズラするし」
「何か言ったかい?」
「いや何にも?」

何か、俺にイタズラとか何とか聞こえたような……。俺、甘寧に菓子あげたよな?
すると、中から呂蒙殿が戻ってきた。片手に何かを持って。あれは……。


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