捧げ物
□たまには
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「大丈夫よ、新型じゃないって言われたから」
障子の向こうから母さんの笑い声がした。
カラリと開けると、布団の上に起き上がってクスクス笑う母さんと、心配そうにその傍らに座る父さんが見えた。
「もー、父さん!人が話してる最中にいなくならないでよねー!」
文句を言いながら父さんの隣に座る。
「悪い悪い。ついな」
「アハハ。大丈夫よー!」
「熱測ったか?」
「さっき測ったら38度7ぶ…こほっこほっ」
「ああもう寝てろ!」
父さんがあわてて母さんを布団に押し込む。
「ちょっとー!大丈夫だって言っ…ごほっ」
「全然大丈夫じゃねーじゃねーか!…明日仕事休むかな…」
「駄目よー。アンタ一応できる奴なんだから暗号解読部のひとたち困るわよ」
「でもなぁ」
「大丈夫よ父さん。私明日から連休だから母さん看るよ。家事もするし」
「………わかった。イノリ、母さんを頼んだ」
「まっかせといてよ!」
「なるべく早く帰ってくるからな」
「待ってるわー。ゴホッケホッ」
「もう寝ろ。・・・やっぱ休もうか・・・」
「父さん!ダ・メ!!」
「わかったよ・・・。イノリ、晩御飯食ったか?」
「うん。父さんのも作ってあるよー」
「お前料理できたのか?」
「へへー!」
「じゃ悪いけどこっちに持ってきてくれ。ここで食う」
「はいはいりょーかいっ」
パッと立ち上がって台所へ走る。
「はいどーぞ」ってカップヌードルを差し出したら
「これは料理っつーのか?」って突っ込まれた。