捧げ物

□たまには
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「ただいまー」

玄関のほうで声がした。

やっと父さんが帰ってきたみたい。

パタパタ走っていってみると、やっぱり父さんがいつも通りめんどくさそうに荷物を置いたところだった。

我が父ながら覇気のない人だ。

やる時はやるんだよってチョウジさんが言ってたけど、イマイチ信憑性に欠ける。

もちろん、父さんのことは大好きだけどね。


「おかえりなさい」
「おう、ただいま。良い子にしてたか、イノリ」
「うん。掃除も洗濯もしたよ」
「そうか。偉いな」

そう言ってクシャクシャって頭を撫でて、なにかを探すようにキョロキョロする。

まあ、なにを探してるのかだいたい想像はつくけど。

「イノリ、いのはどうした?」

やっぱりね。

「母さんね、具合悪いから、いま和室で寝てるの。
でも大丈夫。病院いったらインフルエンザだけど新型じゃないから心配ありませんって・・・」


ふと目を上げると、父さんはもういなかった。

うん。インフルエンザって言った時何か風が吹いたと思ったんだよね。







溜息をつきながら和室に向かった。
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