捧げ物
□関係(2)
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え?私なんかしたっけ?
とかあわあわしてたらユイちゃんがフッと向こうを向いた。
そのまま一度も目があわなかったので、授業が終わるころには私もさっきのはきのせいではないかと思い始めた。
ちらっとしか見えなかったしね、うん。
そんなことを悶々と考えていたおかげでちっとも集中できないままに授業が終わってしまった。
チャイムが鳴ると同時に男子がワッとユイちゃんの周りに集まる。
朝からずっとこの調子だ。
だけど、なぜかユイちゃんは完全に無視してシカマルに話し掛ける。これも朝からずっとだ。
シカマル、早く男子達の殺気に気づかないと命が危ないわよ。
「ね、シカマル君」
「…なんだ?」
「学校案内してもらえないかな!」
「悪いけど他の奴に頼んでくれよ。俺眠いんだわ」
一生懸命話し掛けるユイちゃんとは対照的にシカマルは冷たいとまではいかないが少々そっけない返事。
寝るのを邪魔されて機嫌が悪いんだ。
「じゃ俺が案内するよ!」
「いや俺が!」
「いやいや俺だ!」
シカマルの言葉をうけて周りが騒がしくなる。
シカマルは眉間の皺を深くするとおもむろに立ち上がって私の方に歩いてきた。
そして、そこら辺の椅子を私の座ってる椅子の横に3、4並べて私の机をちょっとずらすと椅子に寝転がり、頭を私の膝に置いた。
要はひざ枕。
「…アンタ何してんの?」
「あん?寝ようとしてる」
「そんなのわかってるわよ!私はなんで自分の席で寝ないのかって言ってんの!」
「あのへんうるせーんだよ。」
「にしてもひざ枕しなくてもいいじゃない!その辺の席借りていっつもみたいに机で寝なさいよ!」
「こっちのが寝やすい」
「宿題やり忘れててキバの写してんだから忙しいのー!写せないじゃない!」
「キバの?お前明らかに人選ミスだぞ」
「やかましい!じゃアンタやってんのー?」
「いややってねーけど」
「でしょ!じゃキバのでいいじゃない」
「春野のは?」
「サクラはなんかいなくて……あーっ!」
「なんだよ」
「学食に行ったんだわ!私も昼ご飯買わないと!シカマル行ってきてー!」
「は?なんで俺が」
「私は宿題写すのに忙しいんだってばー。」
「めんどく「さくないー!」……」
「シカマルお願いー!ね?売り切れちゃう!」
「…あーもーわーったよ。いつものだな?」
「うん!さすがシカマル!ナイス!格好良いー!」
ガバーッとシカマルに飛びつくと、ユイちゃんと目があった。
また恐ろしく冷たい眼差し。今度こそ間違いない。
固まってしまった私から目を逸らしてユイちゃんはこっちに歩いてきてシカマルの腕に自分の腕を絡めた。
「ねーねーシカマル君、今から学食行くんでしょ?私もお昼買うから一緒に行きましょ!」
「…別にいいけど」
「キャー!嬉しい!さっ、行きましょ行きましょ!」
やたら行きましょを連発しながらユイちゃんは自分のとからめた腕を引っ張るようにして教室を出ていった。
一瞬チラッと振り返り、私にむかってフフンと得意げに鼻で笑う。
…なんなの?