裏小説

空に君を描く
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空を描いて欲しいと君が言っていた、君の名前と同じだね
あの空色をキャンパスの上で表現して欲しいと言った
無理だと言うと君はとても悲しそうな顔をした
あれから何年経ったっけ?


アパートの屋上でぼんやりと空を見ていた
すると突然空色だった視界に白い布のような物が見えた

「お兄ちゃん、また授業サボってるの?」

「…白いパンツ」

「ちょ、見ないでよエッチ!」

ぶみっ、目の前が真っ黒になった。踏まれたんだ俺、妹の空に

「で、何か用?」

やっと視界から真っ暗闇が消えて其処には少しムスッとした顔の妹がいた

「先生がお兄ちゃん探してたみたいだよ」

「…寝てるって言っとけ」

「バカ」

「お兄ちゃんにバカって言うなって」

「このままじゃ留年になっちゃうよ」

「良いねそれ、そしたら空と同じ学年になれるじゃん」

そう言ってちらりと空の顔を見たら彼女は顔を面白い位真っ赤にしていた
その数秒後、彼女の鉄拳が左頬を直撃した

「お兄ちゃんのバカ!」




俺の妹、空はその一ヶ月後…死んだ

雨が降る中の葬式だった
薄暗くなった空も泣いていた、俺も泣いていた

みんなみんな泣いていた


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