未来図書館

□夏祭り+宿題
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関東図書基地では現在…
「セミの声マジウザイ。」
「宿題わからん。」
「夏祭りまでに終わらなかったら、夏祭りの軍資金はゼロです。」
官舎の一室に子供が数人集まり、親の監視下で宿題をしていた。
その中でも一番小柄な少女が、ついにパンクした。
「母さん、マジできつい。休憩としてプール行ってくる。」
席を立ち上がりながら言うものの、彼女の母がそんなことを許す訳がない。
「葵が一番終わってないんだから、行けるわけないでしょ。」
冷ややかに見つめる背の高い母を、少女は下から睨む。
「行きたければ母さん倒してから行け。」
いい加減に、学校からの呼び出しが鬱陶しいのでこういってみる。
無言でその脇をすり抜けようとした葵を、軽々と投げる。
「葵、あんたバカね。親の職業考えなさいよ。」
漆黒のロングヘアをうなじでまとめた、整った美貌の少女が話しかける。
「…母さんなら通過できると思ったのに…」
「宿題の終わっていない超問題児をプールに行かせる親がどこにいる?」
リビングの出入口に仁王立ちした郁を、この部屋にいる誰がどかせるのだろうか…否、どかせる人物はいるのだろうか?
「ばあちゃんから、来年ココ受験しろって言われてるだろーが。」
「だーかーら、女子校は嫌だって言ってるでしょ!武蔵野第一行くって言ってるでしょ!」
なぜか進路の話にずれている。
「よっしゃ、全部終わった。」
「私も終わったわ。」
「俺も!」
他に勉強していた三人は、既に終わらせて片付けを始めた。
「ほら、葵だけ夏祭りいけないよ。どうするの?」
「ヤリマス」
「わかればよろしい。高校のことは、私からお母さんに言っておくから。」
おとなしく席につき、シャープペンをノートに走らせる。
しばらくしてようやく、終わったといった葵だが、その時には日が沈んでいたとかいないとか。
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