ハリーポッターとカミツレの姫君

□杖とローブと機関銃
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「痛っ…ここが漏れ鍋…じゃねーな。」
灰にまみれた短い黒髪を振り、一度大きくくしゃみをする。
「どっこらしょい」
じじくさい掛け声でへたり込んでいた暖炉から立ち上がって外へ出る。
「で、どこだここ…とりあえず煙突ネットワークにはつながってる場所ということしかわからなーず。」
日本語でギャグを言っても無駄。
フル―パウダーは持ってない。
なんかキモい物体が飾ってある。
「まぁ、外へ出ればわかるかなぁ。」
楽観的な二十歳の広域地方公務員の大冒険?
そこは店っぽかったので、近くのガラスの扉を開けて外へ出る。
「ぼっちゃん、迷子かい?これ、買わないかなぁ?」
老婆が腕にしがみつき、うっとうしい。
「あの、ボクはそういったものには興味ありませんので。それより、ダイアゴン横町はどっちですか?迷ってしまって。」
「おい、そこで何をしている。」
プラチナブロンドを翻して男が近づいてくる。
「どこかへ失せろ!」
怒鳴られた老婆は茫然としているアオイを置いてどこかへ行ってしまった。
「あーあ、道のわかりそうな人行っちゃったよ。おっさん誰?」
くるりと振り返り、かわいらしい顔で問いかける。
「お前、女か。」
驚いた顔でアオイを見つめる男。
「だったら何、ホテルにでも連れ込む?あいにく私はセール品じゃないよ。」
「いや、息子と同じぐらいの年の少女が道に迷っていたら、明るい場所へ案内するのは大人の役目だろう。名前は?」
「礼儀としては、先に話しかけた方が名乗るでしょ。こんなとこまでレディファーストなのですかねこの国は?」
思いっきりバカにしてやる。自分の失敗に腹が立っていたから、それを発散するにはちょうど良かった。
「すまない、私はルシウス・マルフォイ。貴女は?」
「アオイ・ドウジョウ。先に言っとく、日本人だから。」
「では、ダイアゴン横町はこっちだ、ミスアオイ。ついてきたまえ。」
こうして無事、ダイアゴン横町へと出られた。
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