ハリーポッターとカミツレの姫君

□汽車の中にて
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「やっぱりマグルで混んで居るわねぇ」
「いつものことながら大変だ。おいジニー、はぐれるぞ。」
「「さぁてロニー坊や、どっちがどっちでしょうか!!」」
「ほら双子、おいて行くぞ。」
「あ、兄さん待って…こいつまた寝てるよ。」
「あたしも行きたい―!!」
何やら騒ぐ赤毛の一家が目の前を歩いてゆく。
私は自分の荷物を持ち、更には売店で本を数冊買い込み、トランクとフクロウの入ったかご(漆黒のフクロウで一部真っ白、名前はカモミールである。)を積んだカートを押している。
「ほらアオイもはぐれたら大変だよ。特に君は一般的にサイズが小さいからね。」
「それ今言うんだ。」
「うん。」
静かに赤毛の一家と同じ方向へ、人混みに紛れつつ向かう。
「あの………九と………」
「………ロンと……ね…あそこ………」
赤毛の一家に黒髪の少年が接触しているのを横目に、更に見つけた売店で本を更に調達する。
「全部読むの?」
「当たり前でしょ。こっちの言葉がわかるのに、ホームズの原書読まなくてどうする。アランナの原書も読みたいぞ。」
「アオイは、読書に関しては貪欲だね。」
「平和に読書ができるのは、実に幸せだ。むしろこの状況で本を読まないなんて、もったいない。」
汽車の揺れの中で、ゆっくりとページをめくることを想像して、もうすでに幸せそうな顔をする少女を見つめて、リーマスはただ一言言うのであった。
「鼻の下伸ばしてないで、ちょうど空いてるから行くよ。」
こうして無事、九と四分の三番線から出る汽車に乗ることのできたアオイであった。
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