主に
□『2月14日 〜ざわめきの正体〜』
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なんだかざわめいている雰囲気は分かっていた。
理由までは知らなかったのだけれど。
『2月14日 〜ざわめきの正体〜』
「今日は何の日か…ってお前、バレンタインデーに決まってんだろーが」
今日の雰囲気が平時と違う事が気になって聞いたものの、全く意味不明な解答が返ってきた。
「ば…ばらんたりんでー……?なんですか、それは」「バレンタインデーだよ!なんだお前、知らねぇのか??」
その様な単語は聞いた事が無い。何をする日なのだろうか。何故こんなにも皆が所在無さげなのか。全く分からなかった。
「ったく朽木家の教育はどうなってんだよ…バレンタインデーくらい知っとけ」「申し訳ありません」
「なんでお前が謝んだよ朽木。謝んなきゃなんねーのは白哉のほうだろ」
そこに何故兄様が出るのだろう。
「ま、要するにバレンタインデーってのは渡したい奴に菓子をあげんだよ」
「何故菓子なのですか?」「俺が知るかよ。
んで、あげる方は受け取って貰えるかが不安でソワソワして、自分が貰えるかどうかソワソワしてる奴もいて。それでこんな雰囲気な訳だ。分かったか?」
相変わらずざっくばらんな説明をされたとは思うが、原因は分かった。まだ菓子を貰う事やあげる事がそんなに大事な事なのかという疑問は残るが…
「お前もあげんだろ?」
「…ぇ」
「白哉とか浮竹隊長とか俺とか…あと黒崎とか」
「な、何故そこにヤツの名前が出るのですか!」
「現世で世話になっただろ」
それはそうなのだが。
「作れませんし……」
後から思えばこの言い訳で乗り切れようと思った自分の浅はかさを恨む。
「じゃあ俺が教えてやんよ!」
ちょっと待って下さい。なんでそっち?よりによってそっちに思考を繋げましたね?
「心配すんなって!
おはぎは得意中の得意だしトリュフってチョコは浦原さん直伝だぜ?」
体中で身の危険を知らせるアラームがけたたましく鳴っているのを聞いた。
「よーし、そうとなったら早速作っか!行くぞ朽木!」
「ちょっ…仕事は?!」
制止の言葉もどこ吹く風と私の手を引っ張り、走り出した。
→続