主に
□Help me!!
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「く、来るなっ!!」
「なーんで逃げるのさ〜レガートっ!」
「君が追いかけるからだろうっ!」
クラスを飛び出し、廊下を全力疾走すること50m。2階への階段を一段飛ばしてかけあがって目指すは一番安全な場所。
「ミッドバレイ!助けてっ」
一目散に駆け込んだのは音楽室準備室。防音完備、何より心強いのはミッドバレイがいること。
「レガート君…また『彼』ですか?」
「お願いだ!後でなんでもするから!!」
目に涙を浮かべながら上目づかいで問われれば、はいと承諾するしかない。
「…いつものトコでいいですか?」
「ぁ!ウルフウッド、レガート見てない?」
「まーた追いかけてるんかいな…。ぇえ加減せぇやジブン」
「そーはいかないんだよ今日はっ!なぁあんてったってハロウィンですから!!」
いつものトコ、とは準備室の隣にある教員用の個室にある机の中。
彼が大好きなナイヴズ君には頼れないらしい。迷惑をかけたくないんだそうだ。
「…行ったようですよ」
のそり、と彼が下から出てくる。
「まだ居てもいい?」
「授業、サボっていいんですか?」
「戻ったらまた追いかけられるだけだから…ヤだ」
「おやおや」
「どうして追いかけられるんだろう…」
自分の魅力にちっとも気づいていない。こちらの理性がギリギリなことにも、彼は全く知らないんだ。
手を、伸ばしそうになる。
理性が切れるまで、ラスト10カウント。
かも。
(その度に躊躇う俺は臆病者だ)
終