treasure novels U

□赤から紺へと変わる空
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「ねえ沙絢…昼はごめんね

……僕はダメな大人だから…
つい昼は君の事…忘れてしまう

小早川達に夢中になってしまう……」

俯こうとする君の目を
じっと見つめた


「……でもね 沙絢
僕の夕方から朝までは……

全部君のものだ
…信じて欲しい

その印と言っては何だけど……」


僕はポケットから小さな箱をそっと取り出した

この指輪を見つけた時思ったんだ
僕の想いが全部込められるって


「……綺麗…」

「…でしょ?
ボーナス出たところだからさ
ちょっと頑張っちゃった」


君の誕生月石のルビー
僕の誕生月石のサファイア

その二つを
まるで星のようなメレダイアがぐるりと囲む


…知ってた?メレダイアって君の誕生日石なんだよ?
ちょっと出来過ぎでしょ?



「僕の昼は 沙絢…
君だけにあげられないけど

空がルビーみたいに赤く光る頃から
サファイアみたいに紺色に染まるまでは
僕は君だけのものだよ


…それで許してくれないかな?


そしてね…卒業したら…大澤沙絢になってね

指輪は…その約束の印」


きっと沙絢は
僕を拒否したりしないだろうと思うのは
僕の奢り…ではないと思うけど…


「僕は君の事が好きだ」                 
指輪を薬指にはめながら

言えば君は嬉しそうに笑う



僕にとって
この時間が空間が
泣きたくなるくらい
一番大事なものだよ




これからもちょっと位の我儘
言っても良いよ

でも僕にだけね

                              
「ねぇ沙絢…僕の事…好き?」

表情とは裏腹に
プイと横向く君

「面倒くさい」って?


素直じゃないね

何で言えないの?

好きだよ
の一言だよ


何十年たったとしても
たまには聞きたいな


僕と君が
名字を重ねてもずっと


愛が芽吹いた日
僕達の出会いを忘れたくないな


「ねぇ沙絢…星が綺麗だよ
いや沙絢のほうが……」



照れ始める君に


そっと口付けた


深まる闇とともに

口付けは深くなり


「ね 今日は僕の家に泊まりなよ…」

僕の囁きに

君は小さくうなずいた




fin
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