treasure novels

□マツ シアワセ
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大好きだから

いつもここに居るんです

あなたを待つの───


マツ シアワセ




放課後の美術室
もう、ずっと
都賀井先生が来るのを待っていた


ガラッ……

ドアの開く音に
振り返る


「遅くなってごめんね」


立っているのは
愛しい人

思わず
顔が綻ぶ

でも、それは一瞬で。

都賀井先生の一言で
涙に変わる

辛そうな顔で
わたしを見ながら


「無理に……待っていなくてもいいんだよ?」


───迷惑ですか?

笑みが消えて
ぽろっと涙が溢れた

わたしを見て
驚いた顔をしている都賀井先生


「あ…っごめんなさいっ。あの、ヤだ……なんで涙なんて……っ」


困らせたくなくて
慌ててその涙を拭う

そう、だよね

こうしてずっと待っていたら
迷惑だよね。


「ごめんなさ……っ!?」


謝ろうと頭を下げかけた時

都賀井先生の肩に担がれていた


「きゃあ……っ!」

「待っていなくても。僕が君を攫いに行くから」


見下ろす形で
横から都賀井先生の顔を見ると

すごく嬉しそうに
楽しそうに
笑っていた


「……ずる、いです。都賀井先生……」


わたしを喜ばせるのも
悲しませるのも
簡単に出来て。

自分の頬が赤くなるのがわかって。
それを見られるのが恥ずかしくて。

顔を近づけて
わたしから
キスをした───





「……びっくりした」


そう言いながらも
幸せそうな顔をした都賀井先生が
すごく愛おしかった


「待ってるの、嫌いじゃないからいいんです。
……だって、都賀井先生は。必ず来てくれるでしょう?」


微笑んで、言う。


「ははっ……あんまりそうやって可愛い事言ってると。本当に攫っちゃうからね」


今度は都賀井先生から
深いキスを……




───待っている時間が長いと

不安になるけど

その分

会えたときは

すごく幸せ───





fin



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