東方獣戦争
□プロローグ【見てました!】
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セイバートロン星……。
果てなき闇が広がる宇宙、幾つもの数え切れぬほどの星々が存在する銀河。
その中にある星、此処はトランスフォーマー達の故郷である。
そして今、この星を基点に銀河系を超越し。世界総てを無機生命体・マシーンズに作り替え、平和統一を成そうとした一体の破壊大帝が。最後の有機生命体ビーストコンボイに敗れ。
「打ち上げは8時からだぁよぉ」
オラクルの再生により、共に黄泉の旅路に就くことになった。
「あもしもし、ママ? 悪いんだけどさ。今夜行けそうにないのよ。
え、あ、いやそうじゃなくて今落っこちてるとこ。今度ばかりはやばいんじゃないかなぁ?
えっ? いや、だからマジでやばいんだってば! いくらビーストだからって洒落なんないくらいの高さなんだから。
ビーストでもやる時はやるんだよ!? お笑いばっかじゃないんだからそこんとこヨロシクゥ!
いやー、ビーストもあしがけ9年だよ……まあ、役者としては楽しませてもらいましたよ。何たってね、世界初のフルCGロボットバトルアニメーションシリーズなんだから。
カナダで作ってんだよカナダで! ラブレター、ROMって半端じゃないんだから、でも今回のリターンズはきつかったな!
コンちゃん達サイバトロンの連中が気持ち悪くってさぁ。まだ最初のがましだったんだから。
それに衣装変えさせられちゃってさー。ミノムシでしょ、デカアタマに変なハエにしまいにゃコンボイの着ぐるみだからね!
あんの着ぐるみが使い回しでさ、コンボイの汗の臭いが染みついちゃって……しかもあいつ毛深いじゃない?
だから一回着るとあっちこっちにヤツの抜け毛が絡まっちゃってさー、これだぁから有機生命体はヤなんだよねぇ。
えっ?今度はいつ来てくれるのって? いや、だから今度はないの! もう死んじゃうの! だからね、最後にママ。君に伝えようと思ってさ……。
俺、君のことずっと……って、なんだよ! 携帯切りやがったよ! ったくもー、もうこないと知ったらこれだからなー。いくら使ってやったと思ってんだまったく!
はぁ、はぁ……
まあ、オモチャも売ったし映画にも出たし恥ずかしい話も言ったし、ものまねもやったし。打ち上げまだだけど期待には応えられたんじゃないかな、うん。
悔いが残るとしたら部下に恵まれなかったことくらいかなぁ?
最後に残ったのが『ぶん、あーやられたー』じゃなぁ……。ま、どっかのゴリラと違って潔く散らせていただきますよええ。
待ってろよスコルポス、テラザウラー、インフェルノ、クイックストライク、ランページ、メタルスダイちゃん! ダイ、……あ、あら?
…あ、あら?
あと一人誰だったかなぁ。ほら、アイツだよアイツ。パラリラパラリラ言ってたあの…何だかなぁの阿藤さんじゃなくて…あーもうイライラすんなぁ!
ちょっと死ぬの中止……ストップって言ってんじゃん!
ほー!? もう時間が無いよ無いよ!
あかさたなはまやらわ、あかさた……た?あ、そうだ! 『た』だよ『た』!
『たかはし名人』?『たかじん』?……タラちゃん……あーそうだ! タランスだタランス!
あ、あ、アッーースッキリしたあぁぁぁぁぁ!」
だが、彼がそのまま黄泉に旅立つことはない。
何故ならオラクルの手引きにより、純白の世界から新しい舞台の上出へと呼び寄せられたからであった。
「え、次の現場? 今度こそマジ!? 懐かしい面子と豚汁付くのか!? ヤッターーーー!」
。
(っ、此処は何処だ……?)
かつて、太古の地球の雲に飛びこんだような感覚があった白い世界はいつのまにか晴れ渡り。
目に飛び込んだ風景は薄暗く、肌寒く感じさせる……。
(俺様はビーストを全て取っ払ったはず……だが、これは何だ?)
完全なる機械のボディでこれほど温度というものを感じたことがあるだろうか。
いや、あるはずがない……。
(俺様はトランスフォーマーの筈……)
ゆっくりと上半身を起こすと、そこには有り得ない光景があった。
(な、ななな、ぬぁんだこれはぁぁああああ。 あ、血管切れそう)
それはかつて、ビーストウォーズにて使用した懐かしきボディのメタルスティラノサウルス。ビーストモードの自分が鏡に反射して映り、こちらを見ているのだ。
「馬鹿な! 色んな意味で!」
キラキラとメタルパープルの妖しい輝きを放つボディはまだしも、捨てた筈のビーストボディにリターンしていた事実に思わず叫び声をあげる。
「主人公が新しい機体に乗り換えるから、別の奴にお古を渡す機動戦士みたいな風習のノリか!? スタッフの奴ら騙しやがって!」
そう誰かに向かって怒りを放っていた時。
鏡の中の自分、その後ろに誰かが立っている。
(一体誰だ?)
自分の大きな図体が邪魔で姿はちょっとしか見えなかったが、身体からはみ出た手からそれが人間である事が推測できた。
「まさか、貴方は……朝起きて」
「目がとろん、だって貴様……何故俺様の名前を知ってるんだ?」
自分が使っていた名乗りネタを使われ、メガトロンは背後を振り向いて不機嫌そうに尋ねた。
自分の名を知っているということはサイバトロンに組する人間ではないのか?。
そもそも、何故人間が此処に?と疑問を抱くものの、すぐにそんな疑問は解消されることになる。
「あの、水曜の朝からリターンズまで見てました!」
そこに居たのは、懐かしむように自分を見るパジャマ姿の少女だった。
緑色の髪にカエルの髪飾りを付けた少女。
「私、東風谷早苗って言います。メガちゃんって呼んで良いですか!?」
「ふん、こちやさなえだとぅ……お好み焼きみたいな名前しやがって。いいかおこち焼き! 昔から俺様の闘いを見ているからと言って簡単にあだ名を呼ばせて喜ぶとでも「大ファンです!」はい、喜んで!」
幻想郷に訪れた、元破壊大帝は主役となり。懐かしい面子オラオラに、ザンスーに、ウヒャヒャに、ごっつんこーに、ぎっちょんちょんに、チョッキンなーに、ダーッ。
彼らと再会出来るのであろうか……?
続く
次回予告
メガ「ところでさ、早苗ちゃん」
早苗「なんですか?」
メガ「此処は何処?」
早苗「素っ頓幻想郷ですよ」
メガ「貴様ぁ、アドリブするならキッチリやれい! 真面目にやったらビーストじゃないだろうが!」
早苗「ご、ごめんなさい! 次回【オラオラ居候ザンス】もう、血液サラサラになりますから見て下さい」
メガ「OK、はい、お疲れ良い芝居だったよ早苗ちゃん」
早苗「やったー!」
神奈子「誰アレ?」
諏訪子「さあ?」