東方獣戦争

□【オラオラ居候ザンス】
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「カーッ、あなたたち元気ざんしたか? え、ミーは誰だって? ミーはテラザウラー、お久しぶりザンス」

「テラザウラー、お前誰に向かって言ってんだオラ」

「あの頃のお客様達に決まってるザンショ」

「何だとオラっ、全国のお母さーん! スコルポスでーす」

「決まったところで、東方獣戦争の始まりザンス」


【オラオラ居候ザンス】


 地霊殿。そこは地熱で岩が赤く焼け爛れた地下の世界。
 地獄とはまた違い。この地底には数多くの妖怪達が住んでいる。

 そんな中で存在する屋敷の名なのだ。が地霊殿に最近妙な生物(?)が二匹現れ、住み込みで働くようになっていた。

 一匹は、サソリ。常に「オラ」と口ずさみ。

 もう一匹は……妖怪達が証言するには「見たことのない生物がザンスと口ずさみながら飛んでいた」と。

 そして、この二匹には共通する事が三つある。一つは軽く人や妖怪を上回る体格だということ。
 一つはトランスフォーマーと自らそう言って人型に変身すること。最後は彼らはデストロンということであった……。


 地霊殿内部、中央の部屋にはぽつんと一つの椅子があるだけ。
 薄暗く、地下であるためステンドグラスからは陽がさす事は無論ない。

「最初は、デストロンと言うから悪人かと思いましたけど……そんなに悪い子じゃありませんね」

 椅子に腰掛けている一人の少女が、目の前に居るサソリへと声をかける。

「当たり前だオラ、拾われた恩はちゃんと返すオラ」

 カチカチとハサミの開け閉じしながら答えたサソリ。ロボットモードなら彼は胸を張って言ってそうだな。と少女は笑みを零す。

 少女の名は古明地さとり。心を読む程度の能力を持ち、彼女を前にすればいかなる者でも心に宿すものを暴かれてしまう……怒りも、焦りも、憎しみも。

 しかし、その能力は彼や。今妹達と遊んでいるプテラノドンには全く通用しない理由はただひとつ。
 何故か彼らの心には揺らぎがないのだ。

 サソリ、名をスコルポスと言う彼の心はずっと「オラオラ、全国のマダム」これで。

 プテラノドン、名をテラザウラー。彼の心も「ミー、ザンス」としか読めない。

 はじめて彼らの心を読んだ時、さとりがア然としつつ興味を持ったのは言うまでもない。
 今では彼らと話す時は普通に言葉で意思を疎通するようになっていた。

「そういえば、スコルポスは何故溶岩に落ちたのですかオラ?」

「そういう設定だオラ」

「設定なら仕方ないですねオラ」

 会話していて、たまにあるスコルポス達からのこういった返し。当初は混乱したが、地霊殿に住む者達なら慣れていや、むしろ染まっていた。


※アイキャッチ

さとり「ところで、この「オラ」というのはジョジョですか?」

スコ「ちげぇよ、しんちゃんだオラ」

さとり「え、そっち?」




「家政婦は見た」

「え、市原悦子?」

 地霊殿の廊下、角からお空とお燐が顔を出して辺りを見回す。
 テラザウラー、こいしの二人とかくれんぼの真っ最中である彼女らは。今、鬼として目標を探索していた……。

「いないなぁ、おテラとこいし様」

「うん、こいし様はまだしも。かくれんぼであの図体のでかさは見つけやすいと思うんだけどね」

 無意識を操る程度の能力……これほどかくれんぼに適した能力はなく、空達は鬼になったことを若干後悔していたりする。
 ため息を零しながら二人はとりあえず廊下を進んでいく。

 そんな自分達の様子をじっと見つめる者が頭上にいる事も知らずに……。


(カーッカッカッカッ、天井に張り付くミー達に気付かないで行くザンス)

(どうも、仮面忍者こいし影です)

(あんた仮面してないザンス)


 二人の姿が見えなくなったところで、テラザウラーはこいしと共に天井から降り立つ。


「テラザウラー、変身ザンス!」

「私も変身したいなぁ」

「あんたがやったら骨バッキバキザンスよ」


「はい、二人とも見っけ」

 背後から声がかけられると共に、肩に手の重みが乗った。

「「ザンスっ!?」」

 突然の事にこいしまでもテラザウラーの口癖を言ってしまいながら、二人は後ろに身体を向けるとニンマリと笑うお空とお燐がそこにおり。
 こいしは悔しそうに頬を膨らませながら、彼女達に何故自分達を見つけれたのか尋ねる。
 すると。

「いや、おテラの「変身ザンス!」が聞こえたから」

「もーザンスのせいザンス!」

「ひゃー、トランスフォーマーの性だから仕方ないザンスぅ」

 燐の証言を聞き、こいしはポカポカとテラザウラーを殴りだすが……言葉とは裏腹に顔には笑みが浮かんでしまう。
 何故か自分でも判断出来ていないが、テラザウラーとスコルポスが来た時から、彼女は無意識に楽しかった。
 特徴的な口癖と、何故か彼らから自然と放たれる賑やかな空気が一番の要因だろう。
 こうして遊ぶことが、こいしにはいや、地霊殿の者達にはただただ楽しいのかもしれない。

 そう思いながら、お空とお燐は次はどんな遊びに付き合えるのかウズウズしていた。

「んじゃ次、弾幕ごっこね」

「カーッ、バトルなら負けないザンス」

 数時間後、ボロボロになったプテラノドンが妖怪達に連れられて迷いの竹林に入ったという目撃証言が人里で多数あったそうな。


続く

次回予告

スコ「オイさとりん。ソレは、目玉おやじなのかオラ?」

さとり「まさか、そんなわけありませんよ。ちにみにこれはタケコプターで、私はドラえもんです」

空「え、じゃあ私。のび太くん」
燐「じゃあ、私はしずかちゃんで」

テラ「カーッ、ミーはスネ夫ザンス。この次回予告は三人用だからのび太は定員オーバーザンス」
空「ちょっ、ドラえもん!」

スコ「オラオラ、だったら俺はドラミちゃんだ。次回【ウヒャヒャとブン屋と河童がいた夏】見てくれよ? 余ったこいしちゃんはジャイアンだオラ」

こいし「え、うそぉ!?」

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