君は僕の太陽だ!

□ラブレターパニック!?
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 朝晩は涼しい風が吹き、幾分過ごしやすくはなったけれど、まだ暑さが残る10月。そう今日から衣替えだ。

 昨晩から準備しておいた学ランに腕を通し、ボタンをキチンと上まで留めて、詰め襟のホックも二個全て留める。窮屈だと言う奴もいるけど、僕は身が引き締まる感じがして嫌いじゃない。

 久しぶりに着た学ランは黒が色褪せて見えて、首もとの新しいカラーだけがやけに白く違和感だ。

 それになんだか春より肩幅とかが若干きつくなったかもしれない。僕が成長したって事なんだろう。まあ育ち盛りの高校二年生だし。

 二年か。そりゃ二年も着てれば制服だってくたびれるよな。

 なんて過ぎ去る日々を懐かしみ、秋だからか少し感傷に浸るって言うか、昨日とは少し違う気持ちで今朝は登校したのに。

「オハヨー! 吉高君!」

「あー吉高ぁ。おはよー!」

 やっぱりか、とがくりと肩を落とした。

 学校に着き、下駄箱で靴を替えていると、僕の姿を見た途端女子達が声をかけてくるのは毎日の事。

 決して僕に、じゃない。


 自分で言うのもなんだが僕は月並みな顔、背は日本男子平均並。成績はまあ一応上位だけど、自慢出来る程じゃあない。こんな平々凡々な僕が女の子にモテるはずがない。

 なのにそんな僕に声を毎朝かけてくるには訳がある。彼女たちには目的があるのだ。

「ねえ! 今日陽太君は?」

「さあ? あいつ今日日直だから早く家でたみたいだけど?」

「おはよー吉高君! あれ? 森山君は?」

「おはよー! 森山君は一緒じゃないのー?」

「ねーねー陽太君はぁ?」

 いい加減五月蝿い!  始めは女子に声かけられて男子には羨ましがられていたけど、毎朝こんな風に絡まれる僕を見て次第に憐れみの目へと変わった程だ。

「知らないって! 僕は陽太の窓口じゃないっていっつも言ってるだろ!」

 まとわりついてくる女子達を避けて教室へと僕は向かった。

 自分のクラスについた時いきなり後ろから抱き付かれた。けど、驚かない。

「千歳ぇ〜おはよ〜」

 幼い頃から聞きなじんだ間延びした言葉使い、そしてこの抱き付きくせ。振り向かなくてもわかる。陽太(ひなた)だ。


 陽太の出現と共に女子達からは黄色い声が上がる。

「陽太君! 今日もカッコイいー!」

「やーん! いいなぁ〜私も抱き付かれた〜い!」

 この状況は正直うんざりだ。

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