魔女は番犬と戯れる

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 ガランと言う薪の崩れる音で目が覚めた。
 覚めたはず、なんだけど辺りは薄暗い。薪に火がくすぶってはいるものの灯りの役目は果たしていない。
 朝を告げる小鳥達が鳴いているから朝だとは思う。
 僕は横になっている状況で頭を少し動かし周りを見ると、そこは鬱蒼とした森の中。
 この森はリヴァディアス王国の東に位置するチェムスタの森、通称『黒の森』だ。
 まだ寝ぼけてる頭でどうしてこんな所にいるんだろうと思考を巡らせた。
 そうだ。この森でしか手に入れる事の出来ない秘薬の材料を取りに来たんだ。
 僕は寝床から体を起こそうとしてふと自分が何か弾力の硬い、それでいてしっとりとした肌触りの良い物を枕にしていると気付いた。
 何だろうと見てみるとそれはがっしりとした一本の腕。

 え? 何? 腕!?

 僕は恐る恐る目線だけで腕の先を辿ると、驚く程至近距離にやたらと整った顔があって、密着している形で男が寝ているじゃないか。

 しかも、あろうことか!
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