魔女は番犬と戯れる

□3.
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「やっと着いた…!」
 黒の森に入り三日目、今回探し求めていたアシュアの花が咲いている所に着いた。そこは木々があまり密集していなくて、アシュアの花が月明かりに照らされて青白く発光していてとても神秘的だ。
「これでやっと明日の朝には朝露がとれるね」
 僕の横にいる狼姿のレアンもなんだかほっとしたような雰囲気だ。
「とりあえず朝までここで明かそうか」
 コクリとレアンは頷き、背中に背負っていた自分の服とか剣とかをその場に下ろした。レアンは自分の荷物の中から寝袋を引っ張り出してその上に座った。その様子を見て普通のわんこだったら物凄く賢いわんこだよねと、ちょっと可笑しくなってクスリと笑ってしまった。
 レアンは首を傾げつつ不思議そうにしながらも、その場に寝そべった。
 そんな様子もこの姿だと可愛く見えてしまう。そう思うと、ちょっと淋しいかも。狼なんて普段触れないし、このもふもふが味わえないのはちょっと勿体無いかな。
 そろりとレアンの体を撫でると、もう慣れたのか全く抵抗せずに触らせてくれる。
 淋しいけど、国にとっても重要な人物だし、レアンも元に戻りたいからわざわざ付いてきたんだし、それに何だかんだ言いながら僕を守ってくれたし、ちゃんと薬を調合して元に戻してあげなくちゃ。
 僕も自分の荷物から寝袋を取り出してレアンの横に敷き、朝までの時間はそんなに長くないので仮眠をとる事にした。
 

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