お話

□告白
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「おはよ」
食堂で朝食をとっていると、アイツが声をかけてきた。
「おはよ」
挨拶を返し食事を再開する。
隣に座ったアイツを見ると、テーブルの上には何も無い。
目があうとニコッと笑い、真っ直ぐ見つめてくる。
意味不明な笑みを浮かべるアイツを無視して、スープを飲む。
食事をするでも無く、話しかけてもこないアイツの視線が気になり居心地悪い。
「食べないのかよ?」
「さっき、食べたよ」
「じゃ、何か用なわけ?」
「ん…」
「何だよ?」
相変わらずニコニコしてるアイツに痺れを切らし、空っぽになったトレーを手に立ち上がろうとした時、
「誕生日なんだ、今日」
真っ直ぐな視線と共に発せられた言葉。
「はっ!?」
唐突な発言に間抜けな声がでた。
そんな失礼な態度は気にならない様子で、相変わらず笑みを浮かべるアイツ。
「そっ、そう…おめでと」
「ん、ありがと」
おもむろに右手を差し出すアイツに、
「残念だけど、プレゼントは無いよ」
と、ちょっと悲しい言葉をプレゼントする。
「こんな状況だし、解ってるよ」
柔らかく微笑むアイツ。
「だから、1つだけ“お願い”きいてもらいたいんだ」
「お願い?」
嫌な予感がし却下する前に、アイツは言った。
「膝枕」








狡いよな……

そんな“お願い”だったら断れない。

で、オレはアイツの部屋を訪ねる。

これじゃアイツの思うツボだって、解ってるけど。

あっ、アイツ………優しいのかもな。











ムウ、誕生日おめでとう。

今夜は、極上の膝枕を提供するよ。

だから、オレを抱きしめて。

そしたら、安心して眠れるから。





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