お宝
□生きている証拠
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―ズズーーン…―
腹に響くような重い振動がきて、光った方向へ振り向けば…
(…嘘だ…嘘…そんなはずない!)
光が納まったソコには、見覚えのあるMSの残骸…
『ムウーーー!!』
通信から流れるマリューさんの叫びで、誰が居なくなったのか現実を突き付けられる。
(っ…嫌だ!…こんなの信じたくないっ!)
俺は、現実逃避をしたくて堪らなかった。
だって、ついさっきまで一緒に話してたのに…
俺の隣にはあの人が居るのが当然だったのに…
もう俺の心の大半をあの人が埋め尽くしてたのに…
居なくなったなんて信じたくない…
「くぅ…ム…ウ…!」
だから、必死に機体の残骸へと手を伸ばす…
「っ!」
そこで目が醒めた。
いつも…そこで目が覚める。
起きる度に居ない現実に…
何かを掴もうとして宙を掴む手に…
虚しくなる。
ただ、今日だけは違う。
俺の横には虚しさを打ち消す温もりがあった。
すやすやと眠る顔は、とても穏やかで、その顔をじっと見てたら…
「………っ!」
―…ゲシッ、ドサッ、ベッショ―
「…ぐ…ぎょ!」
なんかムカついて蹴落としてやった。
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