お宝

□新宿芸者
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―イザディア―

「ん…?」
ふと目に入ったそれは、髪飾りだった。
多分、ディアッカのだ。アイツの趣味が日本舞踊だって知ってたし、よく私物を持ち込むから、いつも気にしなかった。が…
「イザーク?珍しいね。ソレ、気になる?」
「ああ、その青い飾りが…」
それは、鮮やかな青色の玉が、いくつも付いていた。
「あーソレね。俺、気に入ってんだ」
「…ほぅ」
シロウト目の俺から見ても、素晴らしいモノだとわかる。
ソレを見つめてたら、ディアッカが…
「クス…その色、なんていうか知ってる?」
「単なる青じゃないのか?」
「新宿芸者…」
「は?…シンジュクゲイシャ?」
「昔、日本の芸者がよく好んで使ってた色なんだって」
「…変な名前だな」
「アハハ、そうかも。でも、その色好きなんだ…」
「…」
…一瞬ムッとした。見入られたように飾りを見つめるコイツの顔が…「好き」と言ったコイツの唇が…
だから…
「…俺…って…前が…好…だ」
「え!?なんだって?」
ボソッと言ったため、聞こえなかったが振り向いたから満足だ。
「ふん!なんでもないっ!!」
「?」
キョトンとした顔をするコイツに笑って誤魔化す…

終わってしまえ
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