お話

□迷子
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迷惑そうな態度で、おっさんに冷たい事言ってたけど……おっさんなら、そんな事お構い無しに押しかけて来ると思ってた。
日付が変わった瞬間に、“おめでとう”を言いに来ると……でも………

マードックさんの視線に気づき、慌てて口を開く。
「おっさんが居なくて、平和な誕生日になりそうだよ」
「坊主…」
「ガキじゃないんだから、誕生日も大した事ないさ」
口をひらくと失言しそうで、黙々と朝食を食べた。



格納庫に向かう途中、艦長さんに呼び止められた。
申し訳なさそうな表情の艦長さん。
おっさんが不在な事を、伝えられた。

「ごめんなさいね」
「謝らないで下さいよ、艦長さん。おっさんが居なくて、平和に過ごせるんですから」
「でも、今日はディアッカ君の誕生日でしょ…」
仕事だから仕方ないと割り切ればいいのに、申し訳なさそうな表情の艦長さんは、おっさんの行動を擁護する言葉を並べる。
「艦長さんやマードックさん、クルーのみんなが祝ってくれるんで、満足ですよ。だから、気にしないで下さい。」
お礼を言い、格納庫へ向かう。





今日1日、会う人全員に“おめでとう”を言われたような気がする。
シャワーを浴びて寝ようと部屋に向かう途中には、エターナルに居るはずのキラとアスランにまで、言われた。
「誕生日おめでとう!ディアッカ」
「サンキュー!って、何してんのさ、こんな時間に」
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