お宝

□還る場所
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マードックの声が響く慌ただしい格納庫内。俺と向き合い、嘘だと言いたげな顔でこちらを見ている金髪紫瞳、褐色の肌の青年。あの頃より背も伸び、身に纏うパイロットスーツの色も赤から緑に変わった。が、彼は間違いなく。
「…ディアッカ」
俺――ムウ・ラ・フラガが誰よりも欲する相手。俺はそっと手を伸ばした。
「…嘘」
小さな、擦れた声。だが記憶にある彼と同じ声音。
「…嘘じゃない」
頬に触れた瞬間、明らかに彼の体が震えた。手に伝わる確かな熱。…あぁ。
「…生きてるはず、ない」
ディアッカだ。
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