Made to order

□泣きながら、繋がる
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「ファイ……?」


君が、どうしたのと俺を見上げる。
俺はその目が見れずに、押さえつけていた君の手首を放して自分の目を両手で覆った。

繋がったまま、俺は動けなくなった。


(何の意味があるのか)


君を愛しているのに、
愛しているが故のこの行為は、無意味だ。


この行為によって快感を得るのは、そういう風に体が出来ているからだ。
それは人が子孫を残さねばならないからで。
(痛いだけなら、こんな事誰もしないだろ?)


だけど、俺の吐き出す白濁は、ゴミ箱に行くしかなくて。
決して君の中では果てる事など出来ない。
世界が違うからとか、それ以前に、こんな俺が、君の中に。


君と俺のこの行為に快感なんてないんだ。

じゃあ何で、こんな事を。


こんな、痛いだけの事を。





「ファイ?」


指の隙間から盗み見た君は、心配気に俺を見上げていた。
揺らぐ、君の目。


(ああ、めちゃくちゃに、)





繋がれば、いずれふたり離れなければいけない。
まさに身を裂く激痛。

そんな激痛を、
いつも君は味わっていたんだ。
果てる瞬間、俺が君の中から急いで逃げる瞬間。

君はひとり、痛みの中に取り残されていたんだ。


(だから君はいつも「まって」と覚悟を決めて)


後先なんて考えず、君の中で果てる。
そんな獣にもなり切れず。

俺は見事に、君をめちゃくちゃに傷付けていた。







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