Made to order

□泣きながら、繋がる
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「抱き締めあうだけじゃ足りなくて、」

未だ繋がったまま、未だ君の目を見れず、
俺はまるで独り言の様に零した。


「我慢できずに君の中に入り込んで、」


君の小さな呼吸だけが聴こえる。


「俺は男で、君は女の子だから、いつも君だけが傷ついた。」


ごめんね。


「こんなの…痛いだけなのにね……」


俺は泣きそうだったし、泣きたいと思った。

でも泣けなかった。

どこまで俺はおかしいんだ。
何でこんななんだ。


ごめんね。


その一言も上手に伝えられず。





「私は、」


君の、夜に溶けそうな澄んだ声にどきりとした。
(それはとても優しい声音)


「いつも、このまま世界が終わっちゃえって祈ってた。」


何だか照れるように、くすぐったそうに、君は少し笑いながら言う。


「繋がってる間に世界が終わって、ふたりこのままで終わりたかった。」


ひとつに、なりたかった。


「痛くなんてないよ。私はただ世界が滅びる事を祈ってた。」


恐い女でしょ?と君が笑った。


(笑っていたけれど泣いていた)





繋がれば、いずれふたり離れなければいけない。
まさに身を裂く激痛。


ならばいっそこのまま終わりたい。


おかしいのか、果て無く優しいか。

俺は間違いなく前者で、

君は果て無く優しいが故に、おかしくなったんだ。





(いっそこのままふたり)

(繋がったまま化石になれたら、)










END
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