イチウリ小説

□CAROLS
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CAROLS


「石田の誕生日どうすっかなー」

石田がもうすぐ誕生日を迎える。
俺は石田の誕生日プレゼントを何にするか悩んでいた。
あいつは物欲とか本当に無えしなー…あーどうすっかな。


学校が終わり、俺は足早に教室を抜け出してそのまま向かったのはカラクラ町の中央だった。
町の中央はいろいろな店があり、モールもある。
最近のカラクラも随分と変わったと他の人が言っているようだ。

とりあえず寒かったので、石田の誕生日プレゼントでも買えるということでモールへと来た。
石田の好きな物=やはり編み物。
そうなるけど、編み物の毛糸をあげるなんてなんか微妙だしな…。

モールの中は暖かくて、制服を着たままデートなんかしている男女も居たりして少し羨ましいとも思う。
石田も俺もあまり人が集まる場所は好きじゃないので、デートでモールとかあんま来ねえし
あいつと制服デートなんかあんましねえもんな…今度してみるか。

カップルを横目で見ながら、そのままエスカレーターで上がり色々見て回るがあまりいいってもんが見つからねえ。
あまり高い物を買う金もねえからな;


「どうすっかなー…」


店内を歩き回りながら独り言を言ってしまう。
とりあえずこの季節に必要な物…マフラーとか…。

「マフラー…これにするか…」


ちょうど見に回っていた店内に男性用のマフラーが置かれていてそれに目に止まる。
少し大きめの手編みのようなマフラーでベージュやクリームがそれぞれ混じり合っていたマフラーで
結構暖かいのでこれなら石田も満足するかな、なんて思いながら会計を済ましラッピングまでしてもらい
俺はそのまま店を後にした。


* * *

午後11時35分。
俺は石田に携帯に電話をかけた。


PPP…

『黒崎?どうしたんだい?こんな夜遅くに…』

「あー石田、今どこにいる?」

『今?家だけど…』

「そっか、じゃあ今から行くから家から出るなよ」

『は?なにっ…』


ブツ。


石田が何かを言おうとしていたが、一方的に電話を切った。
あれからモールから家に一旦帰り、それから飯食ったり携帯弄ったりしていたらもう時間が11時過ぎになっていた。

俺はスウェットのまま上にダウンを羽織り親父の目を偸んで石田の家に自転車で向かう。
自転車の籠には今日俺が買ったあいつの誕生日プレゼントを詰めたまま。


「うっ…さみー…石田家に居るよな…」


上を向けば暗闇の中にいくつかの星が輝いていた。
このプレゼント喜んでくれるかな、なんて少しの不安がある。

「石田…」


早く石田に会いたくて、自転車のペダルを漕ぐスピードをあげた。







ビー…

インターホンを押すと、パタパタとスリッパで小走りで玄関にくる音が聞こえる。
玄関に電気がつくと石田が扉を開けて玄関から出てきた。


「なんだよ、本当に…一方的に電話も切ってさ…」

「わりぃって…ンな不機嫌になるなよ」


俺は苦笑しながら、石田の頭を撫でる。
けれどふくれっ面は治らないままだった。やっぱ怒ってるか;


「で、用は何?しょうもない用件だと怒るよ」

「しょうもなくねえよ;ほら、これ、おまえにやる」

「え?」


石田に俺は綺麗にラッピングされたプレゼント袋を渡すと、石田は頭を?マークに浮かべその袋を手に取る。

気にってくれるかどうか気になり、心臓がバクバク鼓動を打つ。


「これ、何?」

「いいから、開けろって」

「うん…」


渋々石田は俺があげたプレゼントの袋を開ける。
俺にはこういったプレゼントの中身を選ぶのとか下手だから、あんまり嬉しがられないんだよな;
そういうセンスがあるやつが羨ましい。


「黒崎、これ…」

「その、明日お前の誕生日ってことで…あんまいいもん見つけられなかったけれどさ、よかったら受け取ってくれよ」


石田がプレゼントを開けると、俺が今日買ったマフラーを手に取りマフラーを見た後で俺の顔を見てくれた。
驚いているがどこか嬉しそうな石田に気に入ってくれたのか、と少し安堵する。


「覚えててくれたんだ、誕生日…」

「あたりめーだろ。恋人の誕生日を忘れる男じゃねえからな!」

「クス、有難う黒崎。とっても嬉しいよ」

「っ////」


ふわりと綺麗な笑顔を俺に向ける石田が愛しくて、思わず腕が伸びてぎゅっと抱きしめた。
やべ…すっげぇ可愛い…嬉しいんだけどな。


「黒崎、痛いよ」

「わりぃ…でも離したくねえ」

「もう…でも、僕も離してほしくない」


石田はそう言って俺の背中に腕をまわして抱きしめ返した。
とても愛しい恋人を離したくなくてただ何も言わずに抱きしめあっていた。


「あ、もう12時…過ぎてる」

「そっか。じゃあ改めて…おめでとう、雨竜」

「黒…いや、一護…ありがとう、とっても嬉しいよ…大好き///」

「俺もだって///」


俺も雨竜も頬を赤らめながら、雨竜の誕生日を迎えた12時3分…キスをしながら、もう一度雨竜を強く抱きしめた。
雨竜の手にはしっかりとマフラーを持ったまま。



END
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雨竜の誕生日ということでハピバな小説を書いたのですがとても恥ずかしい内容になりました。
今年もまた雨竜の誕生日を祝えてすごく嬉しいです。
イチウリはやっぱり大好きです^^

2009 11/06

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