イチウリ小説
□家庭科室の出来事 前編
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「やーーんvvやっぱり、石田は可愛いわww」
「・・・・・・・・」
目をキラキラと輝かせた、本匠さんに僕はふてくされた顔で
ガクリと肩を落とした。
あれから、本匠さんに無理矢理連れられてきたのが
普段は手芸部が使っている、家庭科室だった。
今日は、部活がないため鍵をしまっているのだが、彼女がどういうルートで借りたのかは
知らないが、家庭科室の鍵を開け、そこで僕を中に入れた。
そして・・・・。
首につけられたピンクのリボン。
頭には、カチューシャ型の猫耳・・・そして服が何故かぶかぶかの男物のYシャツで
自分の太ももがあらわになっていた。
「本匠さん・・・何が目的なの?」
「うん?コスプレさせてほしかったのよ!名づけて『ネコがぶかぶかのYシャツ着た!』」
「そのまんまだからっ!!」
本匠さんのあまりにも、非道なことに腹を立てながらも、泣きながら突っ込んだ。
股と股の間がスースーして、キモチワルイし寒くなってきた。
「あのさ、もう・・・いいよね?気が済んだでしょ?だから、僕を帰らして」
「うーん・・・ダメ」
「なんで!?君の望みどおり、この格好のしゃ、写真も撮って、淫らなポーズだって・・・
したじゃないか!!だから・・・もうッ・・・いいじゃないか/////」
「それだけじゃ物足りないのよ。最初は姫にしようと思ったけど、姫にはたつきがうるさいから
あんたにしたのよ?もうちょっとだけ付き合ってよ」
本匠さんは、突然僕に近づき僕の肩に腕を絡めて、「お願い」っと上目遣いで
僕を見た。
ドクリ。
心臓が高鳴った。
女の子の上目遣いは卑怯だ。これだから、いつも男は女の子のおねだりを聞いてしまうんだ。
そのバカな男の一人が僕で。
あんまり身長差がないけれど、女キラーでかなり・・・変態だけど!
でも、やっぱりどんな女の子でも、「お願い」ポーズをされたら・・・しょうがなく承諾するのが男なんだ!!
「わかったよ・・・」
「本当に?んじゃあ、ちょっと待っててね^^」
「え?って、ちょっと!!」
本匠さんはにっこりと笑って、そのまま僕を残して、家庭科室へと出て行った。
僕は何がなんだかわからず、固まったまま、ちょこんとその場にしゃがみこんだ。
(なんだったんだ?)
そう思ったら、床に無残に脱ぎ捨てられた自分の制服を手にとり
(今のうちに逃げよう)と思って、Yシャツのボタンを1つ、2つ取っているときに
廊下から、うるさい怒鳴り声が聞こえた。
「!?誰か来た!」
誰かが、この家庭科室に入って、自分のこんな変な格好を見たら
誰でも引くだろう。そう思い、ボタンに再び手をつけたとき、既に遅し。
ガラリ。
と、勢いよく扉が開いた。