イチウリ小説
□好きだから
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<好きだから>
放課後のチャイムが鳴った。
下校時刻のチャイム。
そのチャイムを聞いたら、僕は裁縫をしていた手を止めて、後片付けをする。
裁縫道具を自分のロッカーに入れ、僕はかばんを片手に誰もいない部室を見渡す。
誰も居ない部室・・・
窓からは優しい夕日の光が照らされ僕は自然と目を細める。
今日も1日が終わった。
そう思うと心が少し落ち着いて、自然と笑みがこぼれた。
「また明日」
誰もいないけれど、そう告げる。
また明日・・・この場所に来るから。
部室のドアを閉めて、鍵もきちんと閉める。
そしてそのまま鍵を返そうと職員室へ体を向けると、足が数歩歩いて止まった。