Novel
□キンモクセイ
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楽しかったあの日々。
図書司書の彼女と、
宝生家の跡取りの自分。
彼女との関係は秘密だったけど、それでも楽しかったのだ。
だけど、僕は子どもだった。
今の自分であれば、
問題に対してどう対処すれば
いいかわかっている。
今さら、それがわかっても、
もう遅い。
もう、麗しの君はいないのだ。
(会いたい。会いたい。…でも会えない。)
あの時
なんで、一緒にいって
あげられなかったんだろう…。
一緒にいけば、こんなにも
苦しいことはなかった。
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