頂き物
□君よ、美しくあれ
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だが、肯定の言葉は、あいつを苦しめこそすれ、救いにはなりえない。
乾いた声で否定の言葉を呟く。
あいつが、心の底から傷ついたことが手に取るようにわかった。
それでもあいつは引き下がらない。
もう、そこまでするな。
今までこいつらと過ごした日々は、
気が遠くなるほど長かったような気もするし、
瞬きをするほどの僅かな時間だった気もする。
だが、確かにそこには何かがあった。
そこには、何があった?
くだらない日常ばかりだった。
たいした出来事はない、任務も雑用ばかりでこれといった刺激もない。
毎日、あいつらのやかましさに辟易しながら隣を歩いていただけだ。
いつから変わった?
オレはあいつらの隣にいる自分を受け入れるようになっていた。
悪くない、とすら感じていたように思う。
無意味にテンションの高いナルト。
それにイライラして自分も大声を上げるサクラ。
苦笑いをしているカカシ。
その光景を不思議なくらい、穏やかな気持ちで見つめている自分がいた。
時々、その会話が自分に飛び火してくることには、やはりうんざりしたが、な。
ナルトは、特にサクラのこととなるとしつこく絡んできた。
あいつはサクラのことが好きだからな。
しかし、そのサクラはいつもオレのほうを向いていた。
ナルトもそれに気づいていたんだろう。
サクラの態度は極端だったからな。
だから、いっそうオレに突っかかる。
オレはそんなナルトを煽って、鼻で笑っていた。