頂き物
□君よ、美しくあれ
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だが、あの日、
木の葉崩しで砂の我愛羅とやり合ってから数日経った日――
砂の手からあいつを救ったのがナルトだと告げた時のあいつの表情に、
オレはハッとしたんだ。
頬を緩め、目を細めてナルトを見つめる、あいつの表情。
温かな眼差し。
日の光がサラサラとあいつを照らして、桃色の髪が柔らかく透けていた。
美しいという言葉の意味などたいして興味もなかったが、もしかしたら、あれがそうなんじゃないかと、そう思わされた。
オレはあいつに、あんな顔をさせられたことがあっただろうか。
これから先、あんな顔をさせてやれるのだろうか。
今、あいつの心の中を占めているのは、ナルトだ。
そう思うと、ほんの少しの寂しさと焦りが、オレの胸を叩いた。
だが、その後、
オレの中に生まれた焦りは、急激に増幅し、一人の人物の顔を呼び起こした。
無表情にオレを見下ろす、うちはイタチ。
あいつらといることに馴染んできていたはずだった。
あいつらのことを憎からず思っていたし、それなりに大きな存在になりつつあった。
しかし、オレの心はまだ、復讐を忘れてはいなかったんだ。
あいつらとオレは、根本的に違うのかもしれない。
その時、そんな思いがちらりと頭をかすめた。
お前がオレを慕っていることはよくわかる。
その気持ちが半端なものではないということも。
だが、離れればその想いもいずれ耐えるだろう。
オレはナルトみたいに、お前のことを考えてやることはできない。
オレに関わっても、お前は幸せになれない。
オレは、あの時の、ナルトを見つめていたお前の表情は悪くないと思ってる。
だがこの先、オレがお前にあの表情をさせてやることはできないだろう。
あの時のお前が失われるのは、オレの望むところじゃない。
だから今ここで断ち切るんだ。
こんな風に、お前が泣きじゃくる姿を見るのは、もうごめんだ。
「やっぱり…お前、うざいよ」
あの微笑みは、美しい。
だから忘れるな。
その輝きを。
――さよならだ。
「サクラ…ありがとう…」
君よ、いつまでも美しくあれ。