頂き物
□信じてくれるから
1ページ/5ページ
隅にうずくまっていたサクラに声を掛けたのは、私にとってはそれが当たり前のことだったから。
だって、困ってる人には手を差し伸べる、これって人として当然のことでしょ?
サクラの他にだって、困ってる子はたくさんいたし、そういう子たちにだって笑って手を差し出した。
私に出来ることだったら、してあげたいじゃん?
けど、そんな中で、私がサクラと仲良くなったのは、サクラが他の子たちと違ってたからだ。
「いのちゃん」
控えめな笑みを浮かべながら、サクラが小走りでやってきた。
「やっほーサクラ!」
私は片手を大きく振ってサクラを迎える。
サクラが安心したように笑みを大きくするのが見えた。
「何してるの?」
軽く息を切らせながら、上目遣いで私を見る。
「これからするとこ。今日はみんなでかくれんぼやんの。サクラも来なよ」
私は自然な流れで声を掛けたけど、サクラは何だか浮かない顔。
あんまり乗り気じゃないのかな?
するとサクラは言いにくそうに、モジモジしながら下を向いた。
「嫌じゃないかな、私がいたら」
私は一瞬キョトンとして、それから頬を緩めた。
「なーにつまんないこと気にしてんの。人数は多いほうが楽しいに決まってんじゃん」
その言葉にサクラはパッと顔を輝かせる。
「うん」
この子は自信が持てないんだ。
みんなが自分を受け入れてくれるかどうか。
それは、心無い人間のからかいのせいであり、
それから、サクラがまだ自分自身を好きになれていないからでもある。
私はいつか、この子が自分で自分の魅力に気付けたらいいのにって思うのよね。