頂き物
□信じてくれるから
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サクラのいる場所には、小さめの岩が二つ並んでいた。
その二つの岩の間にある小さな隙間に、タクトがぎちっと納まっている。
隙間に入って隠れたはいいが、身動きが取れなくなってしまったらしい。
駆けつけてきたみんなは、呆れた顔をしてタクトをからかった。
「そこまでかくれんぼに一生懸命なヤツ、なかなかいねーよ」
「いやぁ…」
タクトは照れたように笑う。
「いや、全く褒めてねーから」
どうにかみんなで引っ張り出そうということになり、タクトの身体の掴む場所を探した。
しかし、身体は完全に隙間に埋まってしまっており、本人も全く動かすことはできない。
一体どうやってこんなところに入ったのよ。
それでも何かしら方法があるだろうと思っていた私たちは、一向にそれが見つからないことに、次第に焦り始めた。
「どうしよう、全然動かせないよ。どうしよう、いのちゃん」
「そ…そんなこと言われても…」
みんなの不安を受けて、タクトも泣きそうな顔をしている。
その時、サクラが小さく声を発した。
「あの」
みんなの視線がサクラに集まる。
「この岩、砕くしかないんじゃないかな」
サクラの言葉に、私を含めた全員がぎょっとした。
「何言い出すの。そんなこと私たちじゃ無理よ」
「そんなことないよ。この前先生に授業で習ったでしょ。
『岩にも脆い部分があって、そこに打撃とともにチャクラを流し込めば、砕くことだってできる』って。
練習もしたし」
「そりゃそうだけど…授業と実際じゃまた違うでしょ」
「ほら、右側の岩のここのヒビ、ここから右上45度の方向に向かって打撃を打ち込めばこの岩、崩れると思うんだ。」
サクラの指した岩のヒビをみんなで顔を寄せて凝視する。
「うーん…確かにいけそうだけど…」
「この位置だったらタクトくんに破片も飛ばないと思うし」
私たちはお互いの顔を見合わせる。
「けど、誰がやるんだよ。オレは自信ねーよ。練習でも、全然上手くいかなかったしよ」
私も、オレもと、他の子たちが頼りなげに呟いた。
「サクラ、お前できんのか?」
「…ううん、私も、練習ではあんまり上手くいかなかったの。ここでやるのは、自信ない。私は無理だけど…でも…」