頂き物

□信じてくれるから
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サクラは、まっすぐな瞳で私を見た。

「いのちゃんなら」

一度瞳を閉じ、再びゆっくりと開く。

視線を通して、サクラの意思が伝わってきたような気がした。

「できると思う」

サクラの言葉に、みんなが期待に満ちた目で私を見る。



確かに、授業で練習した時にはかなりの確率で岩を砕くことに成功した。

失敗したのは、力をかける方向を計算し損ねたからだ。

その計算は、今回はサクラがしてくれている。

なにより、サクラが私を信頼してできると言ってくれた。



私は力強く頷く。

「わかったわ。やってやろーじゃないの!タクト、失敗したらごめんねぇ?」

冗談っぽく笑うと、タクトは笑えねぇよと情けない声を出した。





「右上方向、45度よね」

「うん」

大きく深呼吸する私に、みんながごくりと息を呑む。



チャクラを集中して、あの岩のヒビに向かって…打ち込む!



私の拳が岩にあたった瞬間、大きな破壊音が響き、辺りに砂煙が舞った。

手ごたえあり、だ。

途端に砂が目や口に入り込み、大きく咳き込む。

ようやく砂煙が収まってタクトがいた場所を見ると、そこには座り込んで激しく咳き込むタクトがいた。

その右側にあった岩は、見事に粉々になっている。

無事に成功したんだと、ホッとため息をついた。



「いのちゃん、すごい!」

一人の子が駆け寄ってくる。

他の子たちもバラバラと私のところに集まってきた。

「タクト大丈夫か?」

「ああ、なんとか…」

「いののおかげだぜ、ちゃんとお礼しろよな」

一人の男の子がそう言うと、周りの子たちもそうだそうだと口々に私を褒めた。
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