嘘つきピエロ
□友達とピエロ
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「ひなせんぱーい!俺の傘にはいりませんかあ?」
にこやかな笑顔でこっちにくる赤也くん。
日直の仕事を手伝ってくれたおかげで、テニス部のみなさんと仲良しになれました。
「…ぇ、と」
「やだなあ、ひなちゃんは俺の傘」
ねーと笑ってくれる幸村くん。
………その笑顔が怖いだなんて、きっと気のせい。
「あ、天津も一緒にファミレスいかね?」
「結局行くのかよ」
「雨も小降りになったしさ!」
ファミレス、か。
ゆうちゃんも用事があるらしいし、今日はどうせ夕飯1人だし…。
いいか、と思い携帯を取り出す。
「ちょっと、まってください」
天津雄二を探して新規メールを送る。
“今日はおともだちと外食して帰ります。”
…と。
「やっぱオムライス?」
「おまえなぁ…」
後ろのほうでは着々と計画が練られていた。
「ぁ、の」
「天津は行けんの?」
「だいじょう、ぶです」
そうときまればレッツゴー!という丸井くんの元気な掛け声で昇降口を出発。
ちなみにわたしは幸村くんの傘の中です。
にぎわう大通り。
幸村くんと肩を並べて、…いや、並ぶにも背が足りません。テニス部のみなさんと一緒にファミレスを目指していました。
♪〜〜〜
「ぁ、」
「どうした?」
「電話みたいです、…………(ゆうちゃん?)」
表示には、ゆうちゃんの名前が。
用事がなくなったのかな?そう思って電話にでた。
「ゆうちゃんどうしたんですか?」
「ひなちゃん、今日外食でしょ?」
「はい」
「俺も外食だったんだよね、それでなんだけど、明日の朝食の材料切れちゃったんだ」
「まあ、……それじゃあわたしが買って帰りましょうか?」
「ごめんね、明日の買い物当番、俺が変わるね」
「ありがとうございます」
「じゃあ」
「では」
明日の食材、何にしましょう。
そう考えながら電話を切ったら、ふいに話しかけられた。
「ひなちゃん、誰から?」
「えっと、弟です」
「天津は弟がいた、と」
さっきからずっとこの調子。
わたしがなにか情報らしきものを言えば、柳くんはノートに書き込みをする。
わたしがなにか行動をとれば、柳くんはノートに書き込みをする。
「やなぎ、くん?」
「何だ?」
「それ、なんでしょう」
「……秘密だ」
秘密だそうです。
………すごく気になる。
(席どこにするー?)
(一番奥で)
(俺オムライスとパフェね!)
(まだみんな決まってないぜよ)